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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.307

韓国で起きた女子中学生集団暴行事件の映画化! セカンドレイプが怖い『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』

HANGONGJU03.jpg転校先の同級生・ウニ(チョン・インスン)はゴンジュの過去を知らない。ゴンジュの心を開かせようと、いろいろとおせっかいを焼くが……。

 ハン・ゴンジュという難役に挑んだのはチョン・ウヒ。ポン・ジュノ監督の『母なる証明』(09)に“しりとりセックス”に励む頭の悪そうな浪人生役で出演。日本でもヒットした『サニー 永遠の仲間たち』(11)では主人公たちとの間に遺恨を残す“シンナー少女”を大熱演し、コアな人気を得た韓国の若手女優だ。若手といっても、チョン・ウヒは現在27歳。脇役人生を歩んできた彼女にとって、インディペンデント作品ながらようやく手に入れた初主演作が『ハン・ゴンジュ』だった。ほとんどすっぴんで通し、補正下着でボディラインを押さえ込み、10代の少女に成り切ってみせた。美人女優ではないチョン・ウヒだが、芯の強さを感じさせる彼女が演じたことで、ハン・ゴンジュは容易には人の手に懐かない野良猫のような気高いキャラクターになりえた。

 本作が公開されたからといって、被害少女の心の傷が癒されるわけではない。そっとしておいてほしいというのが心情だろう。だが、新人であるイ・スジン監督は劇中のウニがそうだったように、ハン・ゴンジュにおせっかいを焼き続ける。示談書を手にした加害者の親たちに追い回され、肉親に見捨てられ、心の中はズタズタのゴンジュは物語のラストで自分の人生のリセットを試みる。ハン、ゴンジュ! ハン、ゴンジュ! ヒロインへのエールが鳴り響く中、物語は息を呑むほど美しいフィナーレを迎える。
(文=長野辰次)

HANGONGJU04.jpg

『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』
脚本・監督/イ・スジン 音楽/キム・テソン 出演/チョン・ウヒ、チョン・インスン、キム・ソヨン、キム・ヒョンジュン 配給/「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」上映委員会 2月10日(火)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開 ※「未体験ゾーンの映画たち2015」内での上映。上映日や上映時間などは劇場HPで要確認 (C)2014 VILL LEE Film Co. All Rights Reserved.
http://www.ttcg.jp/human_shibuya

最終更新:2015/02/02 11:55
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