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第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞記念インタビュー

『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』高橋渉監督が明かす、『クレしん』映画が泣けるワケ

takahashikantoku.jpg高橋渉監督

――ひろしがロボットになるという設定は、高橋監督のアイデアだそうですね。ひろしを主役にしてあげたいという思いが?

高橋 そうですね。近年ひろしにスポットが当たっていたので、ちょっとしゃくな部分もあったんですけど(笑)。

――ひろしの名言を集めた『野原ひろしの名言 「クレヨンしんちゃん」に学ぶ幸せの作り方』(双葉社)なんて本も出ていましたもんね。

高橋 いろいろ考えましたが、ひろしがメインになるのが一番しっくりきました。ひろしって、それぞれの監督が自分の言葉を乗せやすいキャラクターだと思うんです。作者の臼井儀人さんも、もしかしたらそうだったのかもしれない。ときどき凛々しいことを言うのも、だからなんじゃないかなって思います。愚痴ったりぼやいたり、飲んで酔っ払ったり、女性にデレデレしたり。そんな人間くさい、泥くさい、足もクサい人間がロボットになったら、面白いことが起こりそうだと思いまして。それに、弱い部分をさらけ出している人間が好きなんです。あと今作では、もっとオヤジギャグを言わせたかったのですが、あまり入れられなかったのが心残りですね(笑)。

――今回の主人公はしんのすけではなく、ひろしということになりますか?

高橋 大きく言うと、主人公はしんのすけとひろしです。もともとしんのすけは、能動的には動かないキャラクター。一生懸命動いているキャラクターの脇にくっついてちょっかいを出す、というのが基本的なスタイルです。誰かに引っ張られているんだけど、自分のペースを保っている。それが、しんのすけの特徴だと思ってます。引っ張られた先で、おかしなことをしでかして、流れに沿わない、予想もしなかった流れを生み出す。

――それが『クレヨンしんちゃん』の面白さの理由なんですね。初監督をして、新たに発見した魅力はありましたか?

高橋 映像面からいうと、キャラクターの身長が極端ですよね。現実の5歳児より、しんのすけたちはずっと小さい。しんのすけと大人を一緒に入れ込むとなると、画面がゆがんでくる。どうしても嘘をつかざるを得なくなり、画面がダイナミックになる。そのゆがみが、『クレヨンしんちゃん』のアニメーションとしての魅力なんじゃないかなって思います。

――確かに、下からなめるような構図だったり、遠近感を利用したりと、面白い画角になっていますよね。

高橋 ストーリー面でも、しんのすけの重要性に気づかされましたね。生と死を扱ったシビアなお話ですが、揺るがないしんのすけが救ってくれた。子どもの素直な目線がユーモアを生み出したり、複雑な問題を解決する奇抜なヒントを与えてくれたりもします。

――大人が状況に振り回されているのを、しんちゃんたち子どもが冷静に見ている。そんな構図だから、子どもにも大人にもヒットするのでしょうね。

高橋 僕自身は子どもに向けてではなく、家族に向けて作っているつもりなんですよ。お茶の間にいるであろうお子さんと、お父さん、お母さん。大人にしかわからないネタも入れているけど、意味がわからないことがあればお父さんお母さんに聞けばいいわけですし。そこで会話が生まれればいいなと。

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