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韓国で国民的大ヒット『国際市場で逢いましょう』日本公開で、釜山が日本人観光客招致に躍起!

kokusai.jpg『国際市場で逢いましょう』公式サイトより

 5月16日に日本公開を控える映画『国際市場で逢いましょう』。観客動員数1,425万人を突破し、歴代動員ランキング第2位という大ヒットを記録した、韓国の国民的名作だ。

 同作は、1950年に開戦した朝鮮戦争の激動と混乱の中で、避難民が釜山で形成した国際市場を舞台に、家族のために生涯を捧げた父親の物語。主人公ドクスは、内戦中に父、妹と離れ離れになったトラウマを抱えている。残された家族の大黒柱として、西ドイツへの出稼ぎやベトナム戦争従事など危険な仕事にも進んで身を投じていくが……。


 ところで国際市場とは、いったいどんなところなのか? 戦時中、アメリカ軍部隊で雑用を任されていた庶民たちが、軍からもらってきたアメリカの缶詰や戦闘食料を路上で売り始めたことが、市場を立ち上げるきっかけだったといわれている。朝鮮戦争休戦後、釜山港を通じてあらゆる外国の商品が輸入され、ドクスが生涯をかけて守り抜く輸入品店「コップニネ」のような店がどんどん増え、市場の原型が形成された。現在は日本製品が売られているのをよく見かけるが、釜山の立地を考えると極当たり前の現象かもしれない。釜山は日本との長年にわたる貿易によって、お菓子やキャラクター商品、雑貨など、あらゆる日本のモノが送り込まれてきたのだ。

 そんな昔の面影は現在も残っており、毎日モノや人であふれる国際市場だが、映画の大ヒットによって多くの“聖地巡礼者”が現れた。特に「コップニネ」のロケ地の前は、ものすごい人ごみで騒がしい。この店はもともと「ヨンシン商会」という名前の雑貨屋だったが、映画に合わせて店名を「コップニネ」に変更。その看板を一目見ようと、韓国各地から人が集まってくるという。

 しかし、たくさんの人々が訪れることで、売り上げがアップするだろうと踏んでいた店主の予想は見事外れた。一見すると繁盛しているようだが、実際はロケ地巡りのためだけに訪れる人ばかり。彼らは記念写真を撮ったら、さっさと帰ってしまうという。それどころか、あまりの人ごみでむしろ商売の邪魔になる上、周りの店にまで被害が及び、苦情が殺到。さらに、最初は敷金500万ウォン(約55万円)で借りた店舗だったはずが、映画公開後再契約を目前にして、賃貸人から権利金5,000万ウォン(約554万円)を要求されたという。閉店の危機に追い込まれた店主は、こんな事情をメディアに訴え、釜山市の仲裁と市民たちの協力を得てなんとか起死回生したのだった。

 このコップニネ事件を通じて、釜山市は大きな課題を抱えるようになった。映画に感動した観光客が次々とやってくるものの、“何か物足りない”気持ちにさせている国際市場。「コップニネ」を名乗ってしまった以上、店側もそれなりの覚悟が必要だったかもしれない。もちろん、さまざまな楽しみ方のある国際市場だが、今後観光地として本当の“国際的”な市場にするために、市レベルでの改善策が必要だという声も上がっている。

 釜山観光公社は、映画の日本でのヒットも当て込んで、国際市場を含めた釜山観光ツアーを企画。日本語ガイドを教育するなど、日本人観光客を呼び寄せるために必死だ。円安や日韓の外交問題などで日本人観光客が去年に比べ8%減少している釜山だからこそ、映画『国際市場で逢いましょう』に寄せる期待は大きいのだろう。
(文=イ・ハナ)

最終更新:2015/05/01 23:00
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