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じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

究極のチャラ男マンガ『Bバージン』は、なぜ非モテのバイブルだったのか?

 おまけに90年初頭はインターネットなどない時代なので、今のようにわからない言葉をググることもできません。さらに、友達に意味を聞くのも恥ずかしくてできません……というわけで、「エンポリオ(アルマーニ)」の意味がわかったのは『Bバージン』を読み始めてから5年後ぐらいのことですし、「オータニのバルゴ」に至ってはいまだに意味がわかりません。

 マンガの中でHOW TOコーナー的な感じで、あからさまに女の口説きテクニックが紹介されているのも斬新でした。当時これを真に受けて実践し、ボッコボコにされた非モテ男子たちは星の数ほどいるのではないでしょうか?(成功した人もいると思うけど)

<女のつかみ方 基本1>
その娘が強調してるアクセサリーをさりげなくホメる。
「あ・・・そのイヤリングいいね。似合うじゃん・・・」
「そぅおー、ハデかなーとか思ったんだけどー。」

<女のつかみ方 基本2>
それにひっかけて本人をほめる
「まあ・・・素材がいいからだろ・・・フツーの娘だとイヤリングに負けそうだもんね」

といった具合に、ものすごく実践的に解説されています。モテたければこの歯の浮くようなセリフをサラッと言えればいいのですが、言えるんだったら非モテはやってませんよね。イヤリングじゃなくて、イカリングなら大好物なんですけどね!

 そのほかにも「『○○みたいな』で女をホメる時はわけのわからないハリウッド女優はブナンである」みたいな実践テクも書かれていました。つまり「君ってウーピー・ゴールドバーグみたいだね」とか言えば喜ぶみたいなんですよ。まったく……女心ってやつは意味不明です。

 とにかく『Bバージン』連載当時の僕は、大学受験に失敗した後、代ゼミで先の見えない暗い浪人時代を送っており、非モテをこじらせすぎて非モテレベルがMAXでした。そのため『Bバージン』に出てくるチャラ男すぎる大学生のチャラチャラした恋愛ライフがあまりにうらやましくまぶしくもあると同時に、とめどなく殺意が湧くものでありました。

 しかし、読んでいくうちに、そのチャラさの厚いヴェールに覆われた作品の本当のテーマが、韓流ドラマも真っ青の究極の純愛であることに気づくのです。そう『Bバージン』こそ、どん底にいる僕たち非モテの心をグッとつかんで離さない非モテのバイブルだったのです。チャラッチャラに装飾されたキャンパスライフが描かれている中にあって、Bバージンを誓って一途にユイだけを追いかける秋の熱さが非モテ達の胸を打つわけです。

「キープだ愛人だって、なんなんだお前達はーっ!! こいつの為なら死んだっていいってのが、恋愛だろ!! それをなんだ、キープだ補欠だって、恋人は物じゃねーぞ!!」

などと、秋は青春映画真っ青の熱いセリフをかましてくれるのです。ここで非モテたちは号泣ですよ。

 作品中盤ではだんだんチャラさのヴェールが取れていき、純愛路線、そして熱血路線を経て、秋の生物オタクへの回帰が色濃くなってきます。ユイを狙うライバルとして登場した、Jリーガー候補のサッカー部のエース、佐藤元三(モトミ)とユイを賭けてPK対決するくだりは完全に熱血スポ根友情マンガみたいです。

 終盤になると、一流の生物学者になるため、水族館のスタッフとして働き始める秋。イルカを処分するしないで、水族館スタッフの内部紛争に巻き込まれていきます。最後にはシー●ェパードみたいなゴリゴリの武闘派動物愛護団体と手を組んで、水族館内でクーデターを起こし、殺されそうなイルカを東京湾に逃がし、自分も海外逃亡……などというすごい展開に。もはやハードボイルドです。前半のあのモテHOW TOマンガみたいな展開はどこへ行ってしまったのか……。

 このように大学生チャラ男編、熱血純愛編、水族館内部紛争編のように激しく方向性が変わっていった作品ではありますが、最後までハイテンションを維持しており、名作と呼ぶにふさわしい作品です。皆さんも本作品を読んで究極の純愛『Bバージン』を目指してみてはいかがでしょうか? 結局のところ、イケメンじゃなければキモチ悪いだけという可能性もありますが……。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

最終更新:2019/11/13 17:21
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