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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.326

あの伝説の“暴走狂人”が30年ぶりに帰ってきた!! 破壊神話『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

madmax_601102.jpgウォータンクを運転する義手の女フュリオサ(シャーリーズ・セロン)とマックスはタッグを結成。死のロードの終着地にユートピアは待っているのか?

 フュリオサが運転するウォータンクとイモータン・ジョーたちを乗せた改造車を中心に、総勢150台もの車やバイクが延々とカーアクション&クラッシュを繰り広げる。マックスの愛車インターセプターはさら過激にチューンアップされ、改造戦車、武装バギーカー&バイク、さらには巨大アンプを搭載し、ギタリストが生演奏を鳴り響かせる異様なトラック「ドゥーフ・ワゴン」まで登場! これはもう、モーター社会が生み出した改造車たちの百鬼夜行といっていい(昼だけど)。原型をとどめぬ姿となった車たちの暴走する魂と魂が激しく火花を散らし合う。そんな戦いの中で、本能だけで生きながらえていたマックスはイモータン・ジョーを憎むフュリオサと共闘することに。次第に2人は男女の仲を越えた友情、いや友情よりも固い同士愛で結ばれていく。さらにウォーボーイズのはぐれ者・ニュークス(ニコラス・ホルト)が加わり、マックスたちは自由と自尊心を取り戻す戦いにトップギア全開で挑むのだった。

 『—怒りのデス・ロード』がクランクインするまで、長い長い道のりだった。前シリーズ三部作を終えたジョージ・ミラー監督は『ベイブ』(95)や『ハッピーフィート』(06)といったほのぼの動物映画で余生を過ごす好々爺になってしまったと思い込んでいたのは大間違いだった。さらに壮大なスケールの新シリーズを始動させるチャンスを虎視眈々と狙っていたのだ。恐るべし70歳! 今世紀に入ってメル・ギブソンを再び起用した新作の製作に着手するも、9.11同時多発テロからイラク戦争へと続く国際的な世情不安からプロジェクトは中断に。この間にメル・ギブソンは降板。豪州出身のヒース・レジャーが候補に浮上するも、ヒースは2008年に急逝。『ダークナイト ライジング』(12)の悪役ベインに決まっていたトム・ハーディを新マックスに抜擢し、2011年に豪州での撮影を予定していたが、今度は歴史的な大雨によって荒野が緑化してしまい、再び中断。2012年にアフリカのナミブ砂漠にロケ地を変更することでようやく撮影に漕ぎ着いた。アレハンドロ・ホドロフスキー監督の『DUNE』のように幻の企画として終わっていてもおかしくなかったが、ジョージ・ミラー監督は諦めなかった。過去の栄光を懐かしみながら生きることを良しとしなかった。10か月にわたる不毛の砂漠でのロケ撮影を経て、ついに新作は完成。不屈の闘志を持つジョージ・ミラー監督は、マッドマックス本人に他ならない。

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