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週刊誌スクープ大賞

「元少年A」のゴーストライターは誰だ!? 幻冬舎・見城徹氏との怪しい関係とは?

 ノンフィクション・ライターの高山文彦氏は手厳しくこういう。

「猫殺しの詳細な描写や愛した祖母の遺影の前で自慰にふけるシーンなどが再現ビデオのように精緻に描かれているだけで、彼が本当に書かなければならなかったことには全く触れられていない。それは淳君をはじめ被害者の殺害へ至る道程を自らの身体を切り刻むような思いで自己分析し、なぜ淳君らが殺されなければならなかったかを明らかにすることです。(中略)深い内省や苦悩も見られない低レベルの“私小説”で終わりにしようなんて、ムシがよすぎる」

 弁護士の紀藤正樹氏も憤りを隠さない。

「これはAと出版社が一種の不当収益を得たことになります。彼があの忌まわしい犯罪を行っていなければ今回の印税収入はなかったわけですから、結果的に“犯罪で得た収入”です。凶悪な犯罪行為で有名になり、その知名度を背景に出した本により殺人犯が法外な収入を得るような事態を放置していいはずがありません。ペナルティーなども含めて、早急に何らかの法的措置を整備する必要がある」

 アメリカでは約40州で犯罪者が自らの事件の暴露などで得た利益は、被害者の救済基金に納めなければならないとする「サムの息子法」が施行されているそうである。

 私はまだこの本を読んでいないので内容をとやかくはいえないが、いくつかこの騒動で言っておきたいことがある。まず、こんな本を出版すべきではないという意見には与しない。これまでも連続射殺魔・永山則夫の本(これは完成度の高いものだったが)や佐川一政の本、連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤の本も出版されてきたではないか。

 私が現役の編集者だったら、この本を出版することに躊躇することはなかったと思う。もちろん事前に遺族や関係者たちにできうる限りの理解を求めることは言うまでもない。

 今回、太田出版がこのやるべきことをやらなかったことは批判されて然るべきである。話題にして売りまくればいいというホンネが透けて見えてしまっている。

 もう一つ重要な点は、いくつかの書店がこの本を取り扱わないということである。啓文堂書店を運営する京王書籍販売(東京・多摩市)は、遺族の心情を考慮してこの本を取り扱わないとしているそうだが、私には理解できない。

 多様な言論が民主主義を担保するのだ。卑劣な殺人犯の手記であろうと、その善し悪しを判断するのは読者であるべきだ。
(文=元木昌彦)

最終更新:2015/06/23 16:19
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