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『アベンジャーズ』はスーパーヒーローじゃない? 配給会社が発した“NGワード”をめぐる小さな波紋

 興行の世界に属する映画業界の宣伝方法は、一般の商品などとは違ってかなり特殊だ。配給される国の文化や嗜好性に合わせて、ローカライズされた独自の宣伝が展開される。ディズニー映画といえば、14年に公開された劇場アニメ『アナと雪の女王』(国内興収254.8億円)と『ベイマックス』(同91.5億円)のメガヒットが記憶に新しい。とりわけ『ベイマックス』は日本での独自の宣伝方法が目立った。『ベイマックス』をご覧になった方はご存知だと思うが、『ベイマックス』も原作は『Big hero6』というタイトルのアメコミが原作。日本版のポスターやCMではケアロボットと少年が抱き合うほのぼのしたビジュアルが前面に押し出されていたが、本編はケアロボットを開発した兄を事故で失った少年が、兄を死に追い込んだ真犯人に立ち向かうという復讐ストーリー。また、兄の仲間たちとスーパーヒーローチームを組むという、日本ではおなじみ“スーパー戦隊もの”にオマージュを捧げた内容となっている。宣伝から受けたほのぼのイメージとは異なる戦闘シーンの多さに、劇場で戸惑ったという親子の声も聞かれた。

 今回の『──エイジ・オブ・ウルトロン』もファミリー層の動員に成功した『ベイマックス』的なヒットを狙って、スーパーヒーローやアメコミをNGワードに指定してきたと思われる。配給会社は異なるが、過去にも『プロメテウス』(12年)の公開の際に「エイリアン前史という紹介はダメ」といった要望が宣伝スタッフから媒体側に伝えられるなどのケースはあった。映画宣伝の内情を知る人物は、以下のように語る。

「宣伝スタッフが集まっての打ち合わせの際に宣伝企画書というものが作られ、その中に『今回の映画では、このようなフレーズでの紹介は避ける』などNGワードが書かれていることは珍しくない。でも、それは宣伝スタッフ用のものであって、口頭で雑誌編集者らにお願いすることはあっても、紙面にして媒体に送りつけるというケースは今まで聞いたことがない」(映画関係者)

 配給側の強引なパブリシティ展開に対し、作品レビューや監督&キャストのインタビュー記事を掲載する媒体側は異議を唱えることはできないのだろうか? 前出の編集者とは別のフリーランスの編集者に聞いてみた。

「日本では他の洋画配給会社が苦戦している中、ディズニーは『アナ雪』『ベイマックス』だけでなく、今年は実写版『シンデレラ』も大ヒットして、ひとり勝ち状態。ディズニー抜きでは、洋画にページを割いている映画系の雑誌は誌面を作るのは難しいんじゃないですか。それにディズニーを含め洋画配給会社の多くは宣伝会社にパプリシティ業務を委託しており、配給会社にまでこちらの声が届きにくい状況にあるんです。配給会社からの指示どおりに動いている宣伝会社に、不満をこぼしてもどうにもならない。何よりも媒体側がディズニーに逆らえない大きな理由は、『スター・ウォーズ』の新シリーズの公開が年末に控えているということ。どこの雑誌媒体もディズニーが新たにスタートさせる『スター・ウォーズ』の特集記事を組むことを考えているので、ディズニーに嫌われることを避けているんです」(フリーランス編集者)

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