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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第98回

AV男優しみけんvs 絶対王者の熱きバトル!『BAZOOKA!!!』「地下クイズ王」という知的スポーツ

 問題はこれまで同様、「イスラム国の処刑動画に登場する黒マスクの男の通称『ジハーディ・ジョン』。この名前の由来となったミュージシャンは誰?」「女性の下着や水着が性器に食い込んだ『スジっている』状態を、英語で動物のひづめに喩えて『何・トゥ』という?」「幸福の科学の月刊機関紙で小学生がターゲットなのは『ヘルメス・エンゼルス』ですが、大学生をターゲットにしたものは何?」「北朝鮮の『喜び組』は活動内容から大きく3つに分かれます。では、性的なサービスをするのは『何組』?」などという、地上波では決して出題されない狂った問題が連発。それに加え、たとえば最後に例を挙げた問題には正答の後、「入団の時点で『処女』であることが条件とされている」などと補足解説までついてくる。

 だが、「地下クイズ王」の魅力は、こうしたアングラ知識が入り乱れるところだけではない。なんといっても、クイズ番組として極めてまっとうだということだ。全編が「○○の10」「××の30」などとクイズのジャンルと難易度(ポイント)を選択し、出題されるというオーソドックスなシステム。通常、テレビ番組で行われるクイズ大会は、バラエティ的な面白さを担保するためにクイズ以外の要素が入ってしまう。だが、「地下クイズ王」はクイズ自体が「アングラ」という特殊要素を入れたことで逆に、純粋な「クイズ」だけの大会として成立させているのだ。

 能町みね子は、「地下クイズ王」の魅力を問われこう答えている。

「こんなにアングラでこんなに暗~い感じでやってるのに、スポーツに見えてくる」

 コンマ何秒の差でボタンを押し、超難問に頭の中の知識を総動員して答えを導き出す。“今度こそ”の執念で、汗が飛び散るような勢いで答えていく、しみけん。まさに「地下クイズ王」は、知的スポーツに呼ぶにふさわしい。そうして死力を尽くして答えた回答が「パイパン」だとか「エネマグラ」「ラブリンネイル」「スウィーツKURENAI」などというのだから、くだらなくて最高なのだ。優勝賞品は、シリコンボール注入権やらオリジナルタトゥー無料権。そんなもののために必死になるのは、狂っているのかもしれない。狂った問題で競う、狂った人たち。

 「地下クイズ王」には、テレビが本来持っていた見世物小屋的な原風景が広がっている。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:47
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