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ロビン・シックとファレルの盗作裁判を弁護士が再検証 なぜ「曲の感じ」に著作権が認められたか?

【リアルサウンドより】

「ファレルと俺でスタジオに入ったとき、俺はマーヴィン・ゲイの『Got to Give It Up』がこの世で一番好きな曲の1つだって彼に言ったんだ。『よし、ああいう感じの曲、ああいうグルーヴの曲を作ろうぜ!』って感じだったよ」(ロビン・シック)

 今年3月11日、ロサンゼルスの裁判所は、ロビン・シックとファレル・ウィリアムスに対し、2人の2013年の大ヒット曲「Blurred lines」がマーヴィン・ゲイの1977年の曲「Got to Give It Up」の著作権を侵害しているとして、マーヴィン・ゲイの遺族に730万ドル(およそ8億8千万円)を支払うよう命じた。2人は即座に「この判決は音楽とクリエイティヴィティの未来にとって恐ろしい前例となるもので、非常に落胆している」とコメント。この判決は各方面で大いに議論を呼んだ。

 アメリカでは、この手のいわゆる「盗作裁判」は今までも決して珍しくない。その中で、この判決が特別に騒がれた理由は、もちろん盗作裁判としては史上最高額となった損害額のせいでもあるが、それ以上に、この裁判で争われたのが単に「マーヴィン・ゲイの曲が盗まれたか」ではなくて、「マーヴィン・ゲイの曲の『感じ』が盗まれたか」だったからだ。たとえばジョージ・ハリスンの「My Sweet Lord」とジョディ・ミラーの「He’s So Fine」のようなメロディーの類似性が争われた事例とは異なり、雰囲気、空気、グルーヴといった「感じ」が似ていることが著作権侵害にあたるとマーヴィン・ゲイの遺族は主張し、裁判所がその主張を認められたことが画期的だとされたのだ。

 判決の直後の4月28日に、マーク・ロンソンとブルーノ・マーズの今年の大ヒット曲「Uptown Funk!」がギャップ・バンドの「Oops,Up Side Your Head」に似ているとギャップ・バンドが主張していた件で、「Uptown Funk!」の作曲クレジットにギャップ・バンドの5人の名前が加わった。この決定の背後には「Blurred Lines」判決があると言われており、さっそく判決の影響が広がっているようだ。

 確かに、メロディーならともかく「感じ」にまで著作権が認められることになったら、波及する範囲は広いだろう。

 かつて、ビズ・マーキーとギルバート・オサリヴァンが「Alone Again」の無断サンプリングを巡って争った裁判を機に、ヒップホップでのサンプリング使用は不可能とは言わないまでも、かなり難しいものになった。そこで、本物そっくりのサウンドを生演奏で再現した上で、サンプリングして使用するという手法を取ったアーティストもいたが、「感じ」にまで著作権が認められるのであれば、その方法も不可能だ。

 もっと言えば、「初期ビートルズ風」とか「70年代ソウル風」とかを意識して音楽を作る、なんてことすらできなくなってしまうのかもしれない。

 この判決にどこまでの影響力がありそうか、検証してみた。

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