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パリで人を食べた男・佐川一政が主演! 本番シーンにも挑んだ映画『喰べたい。』

 機嫌を直して寸劇スタート。佐川は、路上でアクセサリーを売るイングリット(レイチェル)というオランダ人と知り合い、絵のヌードモデルを依頼し家に招く。彼女が帰った後、トイレで拾った陰毛を口にし、コーヒーカップに付いた口紅の痕を舐めとる変態ぶりを発揮する佐川。佐川はその後デートを重ね、自宅ですき焼きを振る舞う。

 ここで佐川自ら語る童貞喪失話が始まる。和光大学英文科を主席で卒業した佐川は、電車内で隣のオヤジが読んでいた『週刊新潮』の白人専用トルコ(現ソープランド)の記事を盗み見て、すぐに時計や父親の高級ブランデーを酒屋やバーなどに売り飛ばして金を作り、デンマーク女性に童貞を捧げる。以降スウェーデン、フランス、ドイツ……と、欧州女性を制覇(合間に日本人もツマミ食い)。パリ留学中も買春を続けたという。

 また佐川は、外人女性に対する偏見たっぷりな持論も展開する。要約すると「日本にいる白人女性というものは、個人主義が頂点に達してしまっている。彼女たちの目は非常に暗いし生き生きとしていない。ナイーブさがない。だが日本の女性はナイーブさも純粋性もあるし、人の苦しみや悲しみを理解しようとする。その点で大和撫子は素晴らしい」。近年になって「最近はちゅらさん(沖縄女性)に食欲を感じます」と言ったとか。

 ストーリー再開。イングリットのために再びすき焼きを作る佐川。だが佐川は「肉が……、足りない!」と、チェーンソーでイングリットに襲いかかる。ここからクライマックスの猟奇シーンに突入するのだが、あえて不条理な演出で表現される。佐川はイングリットの尻を包丁で切り開き、その生肉を摘まんで食べる。さらに肉を床に散りばめ自慰に耽る。一方イングリットは、切り離された佐川のペニスをソーセージのように食べる。やがて生首になった2人が会話を始める。佐川「食べてくれてありがとう。僕って美味しかった?」。イングリット、微笑んで「ええ、吐きそうなくらいに」。佐川「ありがとう」と言って目を閉じる。場面は転換して、佐川は日本人女性をナンパし、2人は心からセックスを楽しむ。物語はハッピーエンドで終わる。

 1988年に東京都足立区綾瀬で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」は複数の映画が制作されたが、被害者の遺族感情と世論によりビデオ回収や上映反対運動に発展した。だが『喰べたい。』は、これといった物議を醸すことなくビデオリリースされ、DVD化までは至らず人知れず消えていった。

 それにしても、あれだけの事件を起こしながらも佐川は不起訴処分となり、こうして映画に出たり、本を書いたり講演したりと社会復帰を果たしている。なんでもパリ警察の取調べで、「昔、腹膜炎をやった」という発言が「脳膜炎」と誤訳され、精神鑑定で心神喪失状態での犯行と判断、不起訴処分となったのだという。……そんなのって、あり?
(文=天野ミチヒロ)

■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
ウェブ連載・幻の映画を観た! 怪獣怪人大集合

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最終更新:2015/07/27 09:15
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