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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第100回記念 特別寄稿3

てれびのスキマが見た【日本テレビ】と【フジテレビ】──「平成テレビの完成形」と「元祖テレビの王様」の現在地

 フジテレビ全盛だった80年代後半、日テレは民放3位に低迷していた。その突破口を開いたのが『進め!電波少年』や『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』といった日テレ式のドキュメントバラエティだった。そして94~03年の10年間、「視聴率四冠王」の座に君臨、その後も、現在に至るまで日テレは王者であり続けているのだ。

 ゴールデンでは愚直にファミリー向けの番組づくりを徹底して行い、『ザ!鉄腕!DASH!!』『イッテQ』『世界まる見え!テレビ特捜部』『踊る!さんま御殿!!』『笑ってコラえて!』『ぐるぐるナインティナイン』『世界一受けたい授業』……と、各曜日に看板番組と呼べる番組を抱えている。さらに深夜帯には『ガキの使いやあらへんで!!』はもとより、『月曜から夜ふかし』『ナカイの窓』『マツコとマツコ』『有吉反省会』など多様な番組をそろえ、お昼も『ヒルナンデス!』『スクール革命!』と、いまや盤石の構えだ。まさに、現在の日本テレビは、平成のテレビ界の完成形のひとつと言っても過言ではない。

 そのライバルであるはずのフジテレビは現在、確かに迷走しているように見える。けれど、この状況は、実は70年代後半の頃とそっくりだ。当時、フジテレビは「振り向けば12チャンネル」などと言われ、低迷していた。それを80年代に入って『THE MANZAI』や『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』の成功で覆していったのだ。

 『ヨルタモリ』や『久保みねヒャダこじらせナイト』の演出・プロデューサー木月洋介や、『アウト×デラックス』のディレクター鈴木善貴など、若く優秀な人材も活躍し始めている。たとえば『ヨルタモリ』では、無意味なテロップや過剰な煽りなどを徹底的に排している。その上で、スタジオコントである合間のVTRは、かなりマニアック。どの番組の真似でもない、昨今のテレビのつくり方とはまったく違うアプローチだ。『アウト×デラックス』では、これまで「テレビ的」ではないとされていた人たちに光を当て、多くの新たな人材を発掘している。80~90年代のフジテレビはファミリー層を大胆に切り捨て、時代の最先端にいる若者をターゲットの中心に据えた上で、自分たちが時代を先取りし、牽引していた。それまでの大衆のための「テレビ」観とはまったく違う価値観で、新しい「テレビ」観をつくっていったのだ。そのあたりに、再浮上のヒントがあるのではないだろうか?

 かつてフジテレビは、どん底からはい上がり、栄華を極めた。ならば再びフジテレビが、そしてテレビが復活を遂げることは、決して絵空事ではないのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:47
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