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佐野研二郎氏の五輪エンブレム“盗作問題”「損害賠償」を恐れる利権構造の闇

 しかし、作者の佐野氏は別件でのデザインの盗作問題で、その信頼は地に堕ちている。サントリーのキャンペーンでは、「スタッフ教育が不十分だった」と自身がデザインしたものではなかったとする逃げ口上で一部の盗作を認める始末。

「それでもサントリーが8種類だけ取り下げる中途半端な対応をとったのは、大々的に損害賠償請求しなくてはならなくなる事態の回避で、広告代理店などが、必死に裏で手を回している」とデザイナー。

「今後もしサントリー製品の不買運動なんてことが起これば、さすがにこれだけで済まされなくなる。その場合は当然、佐野ひとりの問題ではなくなってくる」(同)

 一部デザインには、オリジナルのデザイナーから新たな訴訟が起こされるという話があるが「法廷に持ち込まれたら、実際にデザインした部下とやらの実名も明らかにしなくちゃならなくなると思う」とデザイナー。

「でも、その仕事の中身を明かせば、困るのは佐野ひとりじゃないですからね。金を積んで和解に持ち込んででも、そこはひた隠しにするのでは」(同)

 一説には、佐野氏の部下のひとりが知人に「俺はやってない。それなのにもし自分の名前が犯人みたいにして表になったら最悪だから、その前にこの泥船から抜けたい」と相談していたというウワサも聞かれるが、いずれにせよこのままでは組織委も叩かれる一方だろう。

 新国立競技場の問題では建築家の安藤忠雄氏が記者会見で大声を上げて責任逃れの弁明に終始したが、損害賠償がチラつくエンブレム問題では、なお逃げ出そうとする人が出てきそうだ。
(文=ジャーナリスト・片岡亮)

最終更新:2015/08/20 15:53
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