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週刊誌スクープ大賞

「引退する親分に1億円の餞別を払っていた」六代目山口組が新潮に激白した“言い分”とは

 どうやらここまでは、警察とタッグを組んで攻める「神戸山口組」、守るに懸命な「山口組」という構図だ。週刊誌の報道などを見ても6対4の割合で新組織寄りの記事が多いように思える。危機感を抱いたのだろうか、山口組の幹部が新潮に口を開いたが、その論法は「ヤクザってのはな~」という健さんや鶴田浩二のセリフのようで、私のような古い人間には納得できるところがあるのだが。

 今回の騒動は「分裂」ではなく、親分の盃を飲んだ人間が盃を返すことなく出ていったのだから「謀反」と言うべきで、ヤクザの世界では万死に値する犯罪だ。

 司組長が総本部を名古屋に移そうとしていたなどということは全くない、作り話だ。司組長がカネにがめつい人間のように言うが、直系組長が支払う会費は100万円前後で、山口組の運営に使われるカネであって組長個人が私腹を肥やすカネではない。山口組には金銭に関して詳細に記した資料はない。ミネラルウォーターや日用雑貨を買わせているのは事実だが、せいぜい月に5~20万円程度等々。

 だが、司組長になって「引退する親分に1億円の餞別を払っていた」というのはすごい。それも、引退する親分が相次いでいるので、2000万円になってしまったそうである。

 彼の言い分をそのまま信じるわけにはいかないが、「マスコミは鉄砲をバンバン撃つんじゃないかと煽りますが、そんなことは起こらんのです」(同)という件は頷ける。

 鉄砲を撃っただけで10年、人をケガさせたら20年、相手が死んだら無期懲役を食らうのでは「鉄砲玉」を買って出る若い奴は、なかなかいないだろう。

 山口組側は、新組織から脱落する連中が多く、現在は800人もいないのではないかと読んでいるようだ。最後に直系組長は、世間をお騒がせしたことを詫び、「こういうことになった原因がどこにあるのかを検証」すると言っている。不祥事を起こしたどこかの企業の広報担当重役のセリフのようでおかしい。

 暴排条例などで追い詰められ衰弱してきている暴力団組織だから、この分裂騒ぎは「一和会」戦争のように、組長の首を狙うよう大事にはならないで膠着状態が続いていくのかもしれない。
(文=元木昌彦)

最終更新:2015/09/30 15:59
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