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 >   > 岡村靖幸がサブカル既婚者に結婚相談

“結婚に憧れる50歳”岡村靖幸の相談に川上未映子・松尾スズキ・Boseらサブカル既婚者が赤裸々結婚生活を告白

okamura_151029_top.jpg岡村靖幸「ラブメッセージ」

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

 堺雅人、伊藤英明、西島秀俊、向井理、そして、福山雅治まで。ここ数年、セクシーな色気で女性たちのハートを掴んで離さなかった男性芸能人が次々と結婚しているが、そんな状況に影響されてか、あの岡村靖幸がいま結婚に興味津々だという。遂には、『岡村靖幸 結婚への道』(マガジンハウス)という、各界の著名人と「結婚」をテーマに対談する本まで出版してしまった。

 岡村ちゃんといえば、「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」、「セックス」、「だいすき」など、まさに「青春」ど真ん中な楽曲で多くの信奉者を生みだした。00年代は覚せい剤使用などのトラブルを何度も引き起こし長いスランプに陥るが、ここ数年は完全に復活。9月に発売した新曲「ラブメッセージ」も「Oh Baby イメージしたいよはにかむ君の顔/ロマンチックに心はしゃぐのは14歳の頃から」といった歌詞の岡村サウンドで、幅広い層の音楽ファンの心をときめかせた。そんな彼だが、もう今年50歳。このまま「青春」を描き続ける仙人になると思っていたのだが、そんな岡村ちゃんが結婚に前向きになるとはいったいどういうことなのだろうか……。そして、岡村ちゃんの結婚観とはいかなるものなのか?

 そんな疑問を抱きつつ『岡村靖幸 結婚への道』のページをめくると、確かに岡村ちゃんの「結婚」への思いも語られているのだが、それ以上に、岡村ちゃんの「ピュアさ」にサブカル界のスーパースターたちが思わず自らの生活感溢れるエピソードを吐露してしまっており、そちらの方に目が行ってしまう本となっていた。

 まずは、劇団「ナイロン100℃」主宰の劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ。彼は、2009年に女優の緒川たまきと結婚しているが、その夫婦生活はお二人の文化的なイメージと異なる、拍子抜けするほど「普通」なものだった。例えば、夫婦ゲンカについてはこう語る。

〈しょっちゅうではないけれど。世の中の夫婦がみんなそうであるように、ロクでもないことでしますよ(笑)。相手がイライラしているとき、ほっときゃいいのに、こっちも切っ羽詰まったりするとついつい。たとえば、僕は機械オンチなんですね。パソコンも不得意。だから、わかんないことがあると緒川さんに聞かなきゃいけない。いま聞いちゃマズいと思いつつ、こっちも焦ってるから、「これ、ダウンロードできないんだけどさあ!」って。そうするともうお互いのイライラがピークに達しちゃうっていう(笑)〉

 あの二人がこんなしょうもないことでケンカをするとは……。緒川たまきといえば、文系カルチャーのマドンナ的存在。対談でもケラ自身が〈結婚直後は妬まれたりすることもあったみたいで。「KERAさん、刺されますよ」とか言われた(笑)〉と語っているほどだが、そんな緒川たまきも完璧な女性ではないそうで……。

〈欠点があるとすれば、お金に無頓着なことかな。それは、僕ら2人ともなんだけど。買い物で消費するとか、そういうことじゃなく、請求書とか忘れちゃうんです。で、家の電話がよく止まるという〉

 ケラ・緒川たまき夫妻の家の電話が支払い忘れで止まるとは。パブリックイメージとのギャップを感じるエピソードである。逆に、「イメージ通りだけど、そこまで凄いとは……」という逸話を暴露したのは、芥川賞作家の川上未映子。彼女の夫は同じく芥川賞作家の阿部和重だが、この夫婦は同じ部屋で執筆活動をしており、それがお互いに刺激を与え合っているという。しかし、その生活ぶりが半端なものではなかった。

〈たとえば、NHKの『クローズアップ現代』を観てその後5時間ぐらい議論になったりするんです(笑)。このあいだの橋下市長の発言(注:慰安婦問題をめぐる発言)については3日間ぐらい議論になってしまいましたし〉
〈私たちは話し合いがすごく好きなんですね。だから、面白いんですが、疲れるんです(笑)。午前中にそれが始まると、午後には声が枯れてきてしまって〉

 それ、逆に仕事のジャマになってないかと思わなくもないのだが、この議論がケンカに発展することもあるという。

〈特に、フェミニズムに関わる話題になると私はすごく緊張して話をするので、議論が白熱して大ゲンカになりますね。ただやっぱり、議論になると、お互い小説家だから、相手が何を言おうとしてその言葉を置いたかという読み合いになるんですね〉

 なんとも作家らしいエピソードだが、外野から見るとやはりこの議論が仕事のジャマをしているように見えてならない。まあ、会話のない夫婦よりは遥かに良いのかもしれないが。

 同じ作家でも、松尾スズキはこのような議論とは無縁。20歳年下の妻の尻に敷かれているようだ。〈女性と2人で飲みにいくのは控えてほしいとか、そういうことは言われますね〉という状況のなか、女優や女性編集者と仕方なくそういう会が開かれるときは逐一説明報告をしているなど、毒々しい作風からは想像もできぬ暮らしを送っているようだ。さらに、こんなことまで語り出す。

〈僕は風俗はもう二度と行かないんです。絶対に。断じて行きません。マジです。声を張って言います。行・き・ま・せ・ん・か・ら!〉
〈でもね、風俗店のホームページだけは面白いからよく見るんですよ。でね、あるとき、嫁がネットで検索していて履歴でそれが出てきちゃった。「まだ行ってるの!?」ってもう激怒ですよ。「いやいや、行ってないから! 風俗嬢を頭の中で育ててるだけなの! 脳内でマネージメントしてるだけだから!」〉

 これでは、劇団「大人計画」主宰、サブカル界の大御所どころではない。まるで、『サザエさん』のマスオさんばりに小市民な生活ではないか。「無頼」だったこれまでのパブリックイメージとあまりに違い過ぎる。ただ、このような「普通」の結婚生活を送るのには、松尾スズキなりの理由があるという。

〈いままでは、思うがままにいかないのなら、せめて「型」というのを破りたいと走ってきたんです。成人式にも出てないですし、そういうものはすべて「FUCK!」だと。でも、50を過ぎて、「逆に型にはまってみよう」と思ったんです。日常のモラルにはまってみることで、頭の中の反モラルみたいなものが活気づくこともあるんじゃないかなって〉

 にわかには納得しがたい発言だが、同じようなことをスチャダラパーのラッパー・Boseも語る。彼もまた、膨大なサブカル・カウンターカルチャーの知識を武器に社会を斜めの角度から見据え、それをラップの歌詞に落とし込んできた表現者だったが、元あやまんJAPANのファンタジスタさくらだと12年に結婚。今では、子煩悩の面白おじさんと化しつつある。

〈そこは変わったというより、「逆に」なんです。僕は世の中に対して常にズレたポジションでいたいんです。若い頃は、斜に構えて文句言ってるだけで面白かったけど、40歳50歳になってのそれは成り立たない。だとしたら、そのときと同じぐらいズレてることは何だろうと考えると、「いまヘラヘラすることかな」って。「子どもできました。かわいいですけど何か?」っていう。そういうヒネくれ方なんです(笑)〉

 Boseはこんなことを言っているが、これまたにわかには信じがたい。ファンタジスタさくらだは同書のなかでこんな事実を暴露する。

〈ぼっくん(Boseの愛称)、SKEの女の子たちに囲まれてライヴをやったことがあるんです。そのときカッコ良くやろうとしてるから、「それ、違うよ」って言ったんです。「SKEにとっては松崎しげるさんと同じ立ち位置だよ」って〉

 日本にヒップホップを広めた立役者が「ぼっくん」と呼ばれ、さらにこんなアドバイスまでされているとは……。ただ、こんな子煩悩発言を繰り返すのを見ると、そうなるのも自然な成り行きかなと思ってしまうのであった。

〈だからやっぱ写真撮っちゃうもん。天使の瞬間はシャッターチャンスだから。「家族3人で海行きました。砂浜最高! うちの子かわいい! 何か?」(笑)〉
〈子どもができて初めてわかったけど、自分ちだけじゃなく人んちの子どももかわいく見えるようになるんですよ。だから僕ら、2人目3人目が欲しいといま思ってるけど、アンジェリーナ・ジョリーがどんどん養子をもらう気持ちがわかる。自分の子どもじゃなくても育てたいって思うから。夫婦になって区役所に行くと里親募集の資料を渡されるんですけど、岡村ちゃんはその紙もらったことないでしょ〉
〈岡村ちゃんもそうだろうけど、僕はいままでそういう多数派世界を避けてきたし、そうじゃないところで商売してきた。でも、世の中も大多数はそういう世界に属してる。それをあらためて認識したんですよ〉
〈いままでそういう世界に飛び込む勇気がなかったんだと思う。でも飛び込んでみたらやっぱ楽しい〉

 丸くなってしまったなぁ、と思わずつぶやかずにはいられない発言だが、すさまじい幸せオーラが感じられる発言の数々、本人が楽しいのであれば、それはそれで結構なことである。

 では、肝心の岡村ちゃんの結婚観とはどのようなものなのか? 彼はこのように語っている。

〈僕、ジョン・レノンをすごく尊敬しているんですが、ジョンってすごく幸せそうだったじゃないですか、オノ・ヨーコと結婚して。ヨーコは命の源である、ヨーコは神であるとまで崇めて。そこまで夢中になれる人がいるのはすごく素敵なことだと思うし、結婚って素晴らしいものなんだなって、彼を見ているとよくそう思うんですね。(中略)
 だから、尊敬できる人、イマジネーション、インスピレーションの源になるような人がみつかるといいなと思ってるんです〉

 メチャメチャ高い伴侶選びのハードルである。さらに、彼はこんな結婚観も語る。

〈でも僕は、クリエイティビティと結婚生活は相いれないものに感じてしまうんです。まず、結婚の相手は刺激を受ける相手じゃないと面白くないだろうし、刺激的な相手だとしても、僕自身が集中してアイデアを思いつくための自分だけの時間は必要で、そうすると、相手を十分にケアできなくなってしまう。クリエイティブ活動と家庭のバランスをとるのは大変じゃないかなと〉

 岡村ちゃん、その発想じゃ絶対結婚できないよ!と日本中の人々からツッコミが飛んできそうな結婚観だ。しかし、いつの日か、岡村ちゃんがオノ・ヨーコ的な伴侶を見つけ、ジョン・レノンのように自らの結婚生活をインスピレーション源につくった楽曲を聴いてみたい。そんな日が果たして来るのかどうかは疑問だが、楽しみに待っていたい。
(新田 樹)


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