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なぜ少女は“おじさん”に恋い焦がれるのか 姫乃たまが『友だちのパパが好き』を考察

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 現実でモテるおじさんというのは、意外とこういう人だと思われます。本当に普通で、押しが強くなくて。卑屈になっているわけでも、下心のせいで紳士に振舞っているわけでもない、自然な態度が若い女性の気を惹くのです。

 この映画が危ないのは、パパのわかりづらい魅力が、妙子の好青年な彼氏と対照的に映っているところでしょう。妙子の彼氏は年齢も近く、きちんと母親にも挨拶の出来る好青年です。しかし、冷静な彼女に、自分のことを好きか問う子供じみた態度は、あまりに健全で、そして余裕がなく映ります。

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 なぜ、パパはだらしないくせにモテるのか。うっすらと、悔しくすらなります。しかし、モテるからだらしないのであり、だらしないからモテるのでしょう。一度惹かれた若い女の子にとって、愛人がいることも、若い自分に手を出すことも、すべてのだらしなさが、可愛さや、余裕や、ギャップとして脳内変換されます。この映画ではさらに、山内ケンジ監督が独特の演出で、悲しみと滑稽さの間にパパの魅力を自然と打ち出してきます。

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 マヤの好意は一瞬も怯むことがなく、ひとりでいる時も、親友のパパとの2ショット写真を映し出したスマートフォンで自分の体を慰めます。股に押し当てたケータイに、親友からの着信があれば、なんの衒いもなく通話する、その怯まなさ。好きになってはいけない人を好きになることは、幻想的で暗鬱としています。

■姫乃たま(ひめの たま)
地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへ精力的に出演するかたわら、ライター業ではアイドルとアダルトを中心に幅広い分野を手掛ける。そのほか司会、DJ、モデルなど活動内容は多岐にわたる。著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。
ウェブサイト:http://himeeeno.wix.com/tama
Twitter:https://twitter.com/Himeeeno

■公開情報
『友だちのパパが好き』
12月19日より東京・ユーロスペースほか全国ロードショー
監督:山内ケンジ
出演:吹越満、岸井ゆきの、安藤輪子、石橋けい、平岩紙
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2015 GEEK PICTURES
公式サイト:http://tomodachinopapa.com/

最終更新:2015/12/20 09:00
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