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週刊!タレント解体新書 特別編

テレビが打ち出す“発掘”の新たな可能性 2016年注目の、3つのバラエティ番組とは?

■『マツコ会議』(日本テレビ系)

 15年10月スタート。もはや現代のテレビには欠かせない顔となったマツコ・デラックスだが、昨年4月に始まった『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)と並んで、マツコしか持ち得ない特性が存分に発揮された番組だ。毎回話題となっている場所と中継をつないで一般の方に話を聞いていくわけだが、この番組でのマツコ・デラックスはMCだけではなく、総合演出として出演している。

 とにかく、中継先の相手へのマツコのツッコミの入れ方が絶妙。もちろん一般の方に対してツッコむ場面もあるのだが、その場合は決して過剰にひねったり悪く言うことなく、むしろ敬意を持って接している。強いツッコミを入れる相手は必ず中継先のディレクターであり、そのさじ加減が素晴らしい。一般の方を「素人」というように扱わず、むしろ「玄人」と呼ばれる側のディレクターが怒られる様子が新鮮であり、この番組をほかの番組と違う位置へと押し上げている。

『夜の巷を徘徊する』もそうだが、テレビとは限られた種類の人間だけが作るものではなく、むしろ土地から生まれるものだという信念すら感じられるほど。15年のマツコが密かに行っている挑戦とは、街頭テレビの時代への原点回帰であり、あるいは新たな形での萩本欽一的テレビの復権だといえるのかもしれない。

■『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ系)
 
 14年4月にスタートした番組だが、その勢いは昨年も止まらなかった。というかむしろ、ますます勢いを増しているといって少しも過言ではない。昨年で言うと「松本人志メキシコからきた謎のマスクマンとしてプロレス会場に登場してもバレない」説と「『結果発表』のコールが日本一上手いの浜田雅功」説は、15年以降のダウンタウン像を確かに発掘している。

 あるいは、天龍源一郎のハスキーボイスや松野明美の大根っぷりなど、タレントの新たな側面の発掘や、大友康平を面白いという切り口で捉える手法など、とにかく新しいものが毎週のように発掘され続けている。どの回を見ても抜群に面白いという確変状態は止まる気配すらない。16年もまた、最注目のバラエティ番組だ。

 以上、3つの番組は、発掘というだけにとどまらず、社会性をどこかに感じるという点でも共通している。テレビは小さなスタジオの中だけで作られるものではなく、むしろ世間の中にあるべきものだ。15年はテレビが狭いモニタの中から飛び出し、世間に向かって正しく対峙しようとする、その最初の年だったといえるかもしれない。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa

最終更新:2016/04/04 12:10
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