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「さわやかなイケメン」は仮の姿に過ぎないーーディーン・フジオカに漂う危険な香り

【リアルサウンドより】

 今週の『あさが来た』(NHK)は、病死する五代友厚の話題で持ち切りだ。ヒロイン・あさ(波瑠)の才能を見い出し、チャンスを与えるだけでなく、ピンチではしっかり支える。しかも、恋心を抱いているのに、その思いを胸に秘めて笑顔で接する。そんな男女を問わず多くの人々がホレる「五代様」が物語から消えるのだから、騒ぎたくなるのも当然か。

 しかし、五代の持つ「さわやかな正統派イケメン」「穏やかで優しい男性」、そんな世間のイメージがどうもしっくりこないのだ。その理由は、五代を演じるディーン・フジオカという男の過去にある。ブレイクにつながった五代のキャラから、ディーンにも“英国紳士”のような印象を抱いている人は多いが、そんな簡単な男ではない。

 高校卒業後、ITを学ぶためシアトルの大学に留学したディーンは、アジアに目を向けて各国を旅し、香港でモデルとしてデビューを飾る。その後、台湾やインドネシアに渡って、俳優やアーティストとして活動し、逆輸入で日本の芸能シーンに凱旋。さらに、アメリカのドラマにも出演するなど、異色の経歴を持つ。

 そして目を引くのが、ディーンの公式プロフィール。「Languages Spoken」の欄には、日本語、英語、中国語、広東語、韓国語。「Hobbies」には、中国武術、キックボクシング、チェス、写真撮影、瞑想。「Special Skills」には、ギター、ドラム、作曲、作詩、スキー、バスケットボール。ここまで多いと「多才」というより、「何でもやってやる!」という肉食獣のにおいがプンプン漂う。「興味を持ったら絶対にやる」という性格なのだろう。

 ディーンを語る上で避けては通れないのが、2013年の映画『I am Ichihashi 〜逮捕されるまで〜』。世間を震撼させた殺人犯の2年7か月に渡る逃亡を扱った作品で、主演として市橋達也を演じた。日本全国を偽名で逃げ続け、自らの唇をはさみで切る自己整形や、ほぼ無人島での自給自足生活を、ディーンは射るような鋭い視線で熱演。全身から絶望感を醸し出すような演技は、強烈なインパクトを残した。主演だけでなく監督と主題歌も担当したのが、いかにもディーンらしいが、「この役で見せた怖さを彼本人も持っているのでは?」と感じた人は多かったはずだ。

 その意味では、『あさが来た』の「五代様」も、そこからバトンを引き継ぐようにスタートした『ダメな私に恋してください』(TBS)の毒舌メガネ男子も、あくまで“仮の姿”にしか見えない。「まだ日本凱旋の顔見せ出演をしているだけで、ディーンが本当の実力を見せているわけでも、本当にやりたい役をやっているわけでもない」、そんな気がするのだ。

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