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日本の民俗芸能は「美しいんだけど、怖い」 ― 集落に伝わる神々しい恐怖を捉えた写真家・西村裕介インタビュー
2016/01/26 09:15
行山流舞川獅子躍(岩手県)
――一方、これは大変だった……という撮影は?
西村 鹿児島県のトカラ列島・悪石島で行われる「ボゼ」は苦労しました。鹿児島航からフェリーで11時間ほどかけて行くのですが、悪天候によって唯一の上陸手段であるフェリーが頻繁に欠航するため、なかなか島に近づけないんです。初めて予定を組んだ時は、巨大台風が悪石島に接近しフェリーが欠航して行けませんでした。2回目のチャレンジでは、台風で島全体がやられて復旧作業していました。祭りの開催自体も危ぶまれていたのですが、なんとか開催され、撮影することができました。
――まるでウルトラ怪獣のような衣装で、とても「日本の祭り」とは思えませんね。
西村 郷土芸能は日本全国に数万件存在していて、それぞれの地域性を色濃く表しています。その違いが北と南では全然違うんです。ボゼはどうして始まったのかは未だ分からないですが、悪石島に生息する赤っかなカブトムシに似ていて、これに関係あるのかなと個人的に思っています。また、同じく南の芸能として有名なのが、宮古島のパーントゥ。神聖な池で、1年間にわたって落ちた草木や動物の死骸でできた泥をまとい、3体の泥まみれの神様が集落に泥をつけて廻る悪霊払いの行事なのですが、泥からは芳醇な香りが漂ってくる(笑)。泥だらけのパーントゥが、見に来た人々を走って追いかけて泥をベチャベチャとなすりつけたり、停まっている車になすりつけて集落を廻るんです。僕もこの神様に大きなハグをもらいました(笑)。