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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.361

学級崩壊、それは世界崩壊の序曲にすぎなかった!? モンスター化する生徒たち『ゾンビスクール!』

zombieschool02臨時教員として母校の小学校に帰ってきたクリント(イラジャ・ウッド)。彼にとって学校はまさに生徒たちとの格闘の場だった。

 本作の主人公・クリント(イラジャ・ウッド)は小学校の教師をしながら小説家デビューを目指しているが、いまどきの学校は片手間で務まるような呑気な職場ではなかった。臨時教員として母校に帰ってきたクリントは、着任初日から生意気な男子生徒ペイトリオットから授業を妨害される。注意しようと近づくと「体に触られたと親にチクるぞ」と威嚇される有り様。新米教師のクリントはもうお手上げだった。ペイトリオットの隣の席に座っている内気な少女シェリーもイジメの被害者だった。給食後から具合が悪そうなシェリーはちょっかいを出すペイトリオットに噛み付く。ゾンビウィルスを保菌していたシェリーからペイトリオットへと感染し、いっきに学校中、そして町中にウィルスが広まっていく。クリントの担当クラスの学級崩壊が発端となり、世界中が崩壊の危機に瀕することになる。

 これまでにもプロデューサーとして『ブラック・ハッカー』(14)や『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』(14)など個性的なミステリー&ホラー映画を製作してきたイライジャ・ウッドが電話インタビューでコメントを寄せてくれた。

イライジャ「俳優として作品選びを考える際は、これまで自分が演じたことがないようなキャラクターかどうかが大きな決め手となるけど、プロデューサーとして参加する場合は才能ある人たちと一緒に仕事をしたいという要素が大きいよね。今回はホラーの鬼才リー・ワネルとコメディの天才イアン・ブレナンが共同で脚本を書くというので、ワクワクしたよ。決して政治色の強い作品にしようと狙ったわけじゃないんだ。子どもたちにファストフードを無造作に与えることの危険性はもちろんあるけど、米国では子どもたちへの過剰な薬物療法がより問題視されているんだ。多動性障害と判断された子どもの多くは薬物療法を受けさせられている。ただ元気すぎるだけなのかもしれないのにね。そういう現実的な問題は作品の中に盛り込んでいるよ。今回は特にブレナンのお母さんとお姉さんが学校の先生だったことから、教師の仕事ってすごく大変だってことが大きなモチーフになっているんだ。教師は子どもたちを教育する大切な立場にあるのに、米国の教師たちはあまりにも不当な扱いを受けているんじゃないかってね。教師の立場になって、彼らの願いをきっちり描くことが、今回の僕らにとって重
大なことだったんだ。もちろん、シリアスなものではなく、ユーモアとして描いたわけだけどね」

 イノセントな存在であるはずの子どもたちだが、他人の痛みを理解できないまま育った子どもは恐怖の対象となる。映画の世界では、そんな恐ろしい子どもたちが度々描かれてきた。SF映画『未知空間の恐怖 光る眼』(60)は高度な知能を持つ銀髪の子どもたちが小さな町を支配しようとした。スペイン映画『ザ・チャイルド』(76)では島で暮らす無邪気な子どもたちが集団となって大人をひとりずつ処刑していった。『オーメン』(76)では悪魔の子ダミアンがかわいらしい仮面の裏で、着々と人類滅亡計画を押し進めた。

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