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『ライチ☆光クラブ』が描く中二病的ロマン 野村周平ら演じる少年たちは“美少女とロボット”に何を夢見る? 

 「ひかりクラブ」は、タミヤが幼なじみのカネダとダフとともに小学生の頃に作った秘密基地であったが、ある日、転校生の常川=ゼラが現れたことで、いつしか「崇高な目的」を持った秘密結社「光クラブ」へと変貌した集団である。ホモソーシャルなユートピアは、外部からの異物であるゼラによって再構築されたが、それは再び外部からの異物であるカノンによって破壊される。悪意に満ちた世界の中で、その概念すら知らないロボットのライチと純真な少女カノン──中条あやみの透き通るような白い肌が退廃的な世界の中で一層映え、彼女にある高貴さがカノンにフェミニンさと生命力を加えている──という無垢な者同士のロマンスがまるで異世界のものとして立ち上がってくる。カノンが「讃美歌」をオルガンで弾き語り、彼とともに手を取って踊るとき薄暗い世界がセピア色に輝き出し、また、ライチの瞳に残った記憶の中では彼女は淡い色彩で蘇るのだ。ロボットと美少女の純愛だなんて、中二病的なロマンが詰まっている(本作はセカイ系とも言えるかもしれない)。

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(c)2016『ライチ☆光クラブ』製作委員会

 ダークで退廃的な空気感の中で、個性の強いキャラクターたちを野村周平や古川雄輝、間宮祥太郎ら最旬の俳優たちが、“リアル風”な芝居でアプローチするのではなく、漫画や舞台上から飛び出してきたかのような明快な口調や立ち居振る舞いで優雅に表現してみせているからこそ、彼らの鬱屈が生々し過ぎず、私たち観客に独自の耽美な世界を堪能させてくれる。『ライチ☆光クラブ』においては、グロテスクで残酷な表現もすべては少年たちの耽美を引き立てるためにあるのだ。愛と憎しみとが交わり、廃墟が赤く染まるグラン・ギニョールは、なんと美しいのだろう。

(文=常川拓也)

■公開情報
『ライチ☆光クラブ』
2016年2月13日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
出演:野村周平、古川雄輝、中条あやみ、間宮祥太朗、池田純矢、松田凌、戸塚純貴、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音、杉田智和
原作:古屋兎丸「ライチ☆光クラブ」(太田出版)
監督:内藤瑛亮
脚本:冨永圭祐、内藤瑛亮
配給・宣伝:日活
制作:マーブルフィルム
(c)2016『ライチ☆光クラブ』製作委員会
公式サイト:www. litchi-movie.com

最終更新:2016/02/13 09:00
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