日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 月9『いつ恋』第7話レビュー
構成作家・相沢直の“スナオなドラマ考”

意味を与え、一緒に生きていく――忘れられないものとは何か?『いつ恋』第7話

「じいちゃんは、自分じゃ1本しか飲みません。じいちゃんが酒を2本買うときは決まってます。種を植えたとき。種を植えたときです。1本は自分で飲んで、もう1本は、畑に飲ませます」

 忘れてしまったほうがずっと楽だ。荷物は軽いに越したことはない。頭ではそうわかっていても忘れられないものが誰にでもあり、それに意味をつけるのは私たち生きる者の務めだ。亡くなった練の祖父のレシートに、音と練が意味をつけたように。静恵ばあちゃん(八千草薫)は2人に言う。「私たち、死んだ人とも、これから生まれてくる人とも、一緒に生きていくのね。精いっぱい、生きなさい」と。精いっぱい生きるということ。それはきっと、忘れられないものを見つめて、それに意味を与えてあげるということだ。

 第7話のラストシーン、静恵ばあちゃんの庭で練と音は咲き誇る花を愛でている。音の横顔を練は愛おしそうに見つめるが、その愛おしさがどこか切ない。練にとって忘れられないものは、まだ残っている。それはつまり、音を思う気持ちだ。それはまさしく練にとって忘れられないものであり、練もまた、それに気付いてしまっているのだった。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは@aizawaaa

最終更新:2016/03/02 18:12
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