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『ハウス・オブ・カード』全シーズン、遂に解禁! Netflixが示したコンテンツホルダーのあるべき姿

 細かい権利関係などの話は複雑なので省略するが、要するに、2015年に入ってNetflixの日本参入が決定した時点で、それまで『ハウス・オブ・カード』の世界配給の権利を持っていたSONY PICTURES TELEVISION(日本ではソニー・ピクチャーズエンタテインメント)がシーズン3の日本での放送やソフトのリリースを丸々1年間、塩漬けにしてしまっていたのだ。そこにはいろいろな大人の事情がからんでいるのだろうし、テレビ部門においては支社でしかない日本のソニー・ピクチャーズエンタテインメントではどうにもならない理由があったのかもしれない。しかし、だ。同社は『ブレイキング・バッド』でもまったく同じように3年間以上(!)にもわたって権利を塩漬けしていたのだ。日本でも海外ドラマのファンは着々と増え続けているが、それが現時点まで爆発的には増加していない元凶の一つがそこにあったと指摘せざるを得ない。ネットで情報があっという間に世界同時に共有される現代において、このようなコンテンツの塩漬けは熱心な映画/ドラマ・ファンからの不信と憤りを買うだけだということを、各コンテンツホルダーはそろそろ理解するべきだろう。

 2016年3月4日は、世界中が待ち望んでいた『ハウス・オブ・カード』シーズン4の配信開始日だった。Netflixのサービスが日本で始まってから、新しいシーズンの初めての解禁日。きっと何か動きがあるに違いないと期待していたが、日本のNetflixはその期待をはるかに超える最善の対応をしてくれた。シーズン4、全エピソード全世界同時配信。さらには、これまで日本ではどこでも見ることのできなかったシーズン3を含む、シーズン1からシーズン4までの全シーズンを同時配信。シーズン4の世界同時配信は予定通りだったとはいえ、Netflixオリジナル作品にもかかわらず本国での配信時期の都合で権利を持っていなかったシーズン3までの配信を実現するには、様々な困難な調整が必要だったに違いない。今回、Netflixはコンテンツホルダーとしての矜持を、これ以上ないかたちで真摯に示してくれた。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)発売中。Twitter

■作品情報
『ハウス・オブ・カード 野望の階段』
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ケヴィン・スペイシー、ロビン・ライト、ケイト・マーラほか
Netflix:https://www.netflix.com/jp/
(C)Netflix. All Rights Reserved.

最終更新:2016/03/06 09:00
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