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週刊誌スクープ大賞

“ヘア・ヌード”生みの親が、悩める週刊誌に助言「SEX記事はやめるべきではない!」

「Yahoo!ニュース」の3月7日配信記事に「なぜスクープを連発できるのか 新谷学・週刊文春編集長を直撃」というのがある。インタビューアーはノンフィクション・ライターの森健氏。その中で、新谷編集長のこんな言葉がある。少し長いが、引用してみよう。

新谷 なぜこのタイミングなのか(新谷編集長が3カ月の休養から復帰したこと=筆者注)という質問もたびたびいただきましたが、率直に言って、どのスクープも取材の裏付け(確証)がしっかり取れて、記事を出せる段階になったのが、たまたまその掲載号だったということです。たとえば、ベッキーさんの記事。情報提供を受けたのは昨年末でした。あるデスク(副編集長)が水面下で、正月休みの間も先方とやりとりしていたのですが、私が正月3日に現場に復帰した段階では先方と信頼関係が築けていた。そこでその日に取材班を立ち上げ、4日に長崎に行って写真を撮って記事を作成して、5日に校了、7日に発売というスケジュールでした。あの取材では、中心的に動いた記者は2人、途中で応援要員も入って、総勢5人ぐらいです。大事なのは、「いける」と思ったときに躊躇せずに勝負をかける、つまり、記者を投入できるかということなんです。われわれ週刊誌は「攻めのメディア」で、踏み込むべきときには踏み込んだほうがいい。それができるかどうかだと思うんです。

新谷 いまのメディアは、批判をされない、安全なネタばかり報じる傾向が強まっているように思います。評価が定まったものに対しては「悪い」「けしからん」と叩きますが、定まっていないものは扱いたがらない。ベッキーさんなんか最たるもので、一度、「水に落ちた犬」となると、かさにかかってみんなで責める。ベッキーさんの記事が出た後の反応、展開は我々の想像を遥かに超えていました。

──ずばり聞きます。週刊文春だけがスクープを打てるのはなぜですか。

新谷 今年になってから何度も聞かれた質問ですね。答えは至って単純。それはスクープを狙っているからです。「スクープをとるのが俺たちの仕事だ」と現場の記者はみんな思っている。そう思って取材しているし、現場に行っている。いまここまで愚直に「スクープ」を狙っているメディアはあまりないように思います。新聞でもテレビでもスクープの土俵から降りはじめているような気がする。

──どうしてですかね。スクープはメディアの華じゃないんですか。

新谷 リスクとコストを考えると割に合わないからだと思います。スクープをとるためには、手間も時間もお金もかかる。しかも、スクープ狙いの取材を始めても、事実を詰められずにボツになることもある。あるいは、記事になっても、「際どい」スクープの場合は取材対象の政治家、経済人、企業、タレントなどから名誉毀損で訴えられる可能性もある。多くのメディアはスクープ記事のリスクとコストを考えて、数字が見込める「企画物」に行くことが多いように思う。読者、視聴者の関心が高そうで、安心安全なことを書くとか、発生もの(事件)をすこし詳しく書くばかりで、独自ネタに伴うリスクをとることに及び腰な気がします>

 私が新谷編集長をすごいと思ったのは、2012年にやった「小沢一郎、妻からの離縁状」(6月21日号)のときだった。

 これは「私信」だから、もし訴えられれば間違いなく負ける。小沢の妻はこれを公にされることを考えてこの手紙を書いたのだから、訴えてこないと判断したのであろう。よほどの度胸がないとできない。

 他の週刊誌の編集長は、これを読んで何を感じるのだろうか。スクープでは部数は伸びない、事件ものはカネがかかるからやらないというのでは、週刊誌の役割を自ら放棄したことになる。猛省を促したい。

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