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中国メディア「スパイ容疑」晒し上げ乱発に見る、習近平政権の“焦り”と内部対立の深刻さ

chinaspy002.jpg「寄田」と呼ばれる人物に頼まれ、尖閣諸島に関する中国政府の政策情報や海軍の巡視艇などの情報を提供していたという陳威

 スパイ容疑により逮捕された中国人の多くは諜報員としてではなく、諜報員の協力者として活動をしていたとみられている。中国の社会情勢に詳しい香港在住のジャーナリストは、次のように分析する。

「中国でここ数年、スパイ罪に関するニュースが多く流れていますが、これまでは、スパイ罪で逮捕者が出ても中国メディアは取り上げてきませんでした。しかし近年、中国国営放送などではスパイ罪で逮捕された人物への獄中インタビューが頻繁に放送されている。この背景には、中国政府の焦りを感じられます。習近平は政権成立後、軍に対する掌握力の甘さをたびたび指摘されてきました。そんな中、特に軍事機密が海外に諜報機関に流出する事件が多発し、共産党内で習近平への不信感が高まってきているんです。そこで見せしめのため、官製メディアが積極的に“成果”を強調している。スパイ容疑で拘束中の日本人も、こうした流れに乗って表沙汰になっているのです」

 拘束中の日本人に関しては、日本の公安調査庁などの“不手際”やずさんな手法も問題視されているが、中国側の事情を先読みし、いかに適切に対処していくが、今後の対中諜報バトルの鍵を握るといえよう。
(文=広瀬賢)

最終更新:2016/04/27 21:00
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