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モンペの罵詈雑言と、ずさんな「人権派」弁護士……丸子実業高校いじめ自殺の真実

 2005年12月6日午前6時半、自宅の自室で長野県・丸子実業高校の高山裕太くん(当時16歳)が自殺した。この事件の直後、バレーボール部に所属していた裕太くんに対して「部内で暴力を伴ったいじめがあった」こと、「学校側の適切な対処がなされなかった」ことが原因であると、母親は主張。一方、学校側は「学校ではなく、家庭に問題がある」と、意見はまったく食い違っていた。

 この報道だけを見れば、過去に起こったさまざまな自殺事件から「いじめ問題に向き合わない」「事なかれ主義」の学校側と、「学校教育の被害者」である遺族側……という物語を描く人は少なくないだろう。しかし、ノンフィクション作家・福田ますみ氏の『モンスターマザー』(新潮社)によれば、事件の真相は真逆のものだった。

 裕太くんが自殺する半年前に、時計の針を戻してみよう。

 05年5月、裕太くんは家出した。これを受けて母親は、「自殺したのではないか」と警察に捜索を依頼。学校、バレー部員なども動員して行われた捜索によって、裕太くんは無事発見され、母親もこの時の学校側の対応に最大限の感謝をしている。しかし、8月になって再び裕太くんが家出した時、母親の対応はまるで異なるものだった。「子どもはもう自殺している。原因は担任にある」「先生、生徒みんなで捜せ!」。さらに担任には「のうのうと寝ていないで、外に見つかるまでいろ」……。当初、教師たちは命令口調で激しく叱責する母親の言動を、不安から来る焦燥感だと受け取っていた。しかし、ここから母親は「モンスター」と化していく……。

 この家出事件で、6日ぶりに裕太くんが発見された後、母親から出てきた言葉は感謝ではなく「担任交代、いや退職しろ!」「もう二度と家に来るな!」という激しい罵声だった。事件後も彼女の罵声がやむことはなく、学校や県教育委員会、PTA会長にもしつこく電話をし、絶叫を交えながら学校側の非を一方的にまくし立てる。さらに、バレー部内部でいじめや体罰があったと主張する母親は、裕太くんを登校させず、学校側との話し合いもほとんど拒否。だが、母親が主張する「いじめ」や「体罰」とは、どう考えても部活内のコミュニケーションのレベルを超えるものではなかった。

 バレー部員、保護者、顧問らに、電話・メール・FAXなどあらゆる方法を駆使して罵詈雑言の数々を叫ぶモンスターと化した母親は、周囲の人々から白眼視され、孤立していく。この間、裕太くんの「本音」と思えるような発言はなされず、母親の「裕太は自殺を考えている」「裕太の人生を台なしにした」という絶叫ばかりが周囲に響き渡る。連日、母親からかかってくる罵詈雑言の電話によって、バレー部監督は神経症を患い、いじめの首謀者とされる生徒の母親は円形脱毛症となる。誰もが、母親の暴言に精神を壊す寸前だった。

 そして、母親の3カ月にわたる暴走の果てに、裕太くんは自殺する。だが、これが終わりではなかった。

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