日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 自公維3分の2獲得も改憲は無理?
週刊誌スクープ大賞

自公維3分の2超獲得も、改憲に高いハードル「参院選は、安倍時代の終わりの始まり?」

 さて、参議院選が終わった。新聞各紙の読み通り「自民党大勝で公明党など『改憲勢力』を合わせれば、衆参両院で3分の2を占めた」。大メディアは、自分たちの予測が当たったことに満足なのだろうか?

 すぐに改憲へ動くのかどうかは後で触れるとして、まずは投票日当日の新聞朝刊の安倍自民党広告を見て、違和感を覚えた向きは多いことだろう。

 選挙期間中は各党が新聞広告を載せていたから政治活動の一環として許されているのだろうが、投票日当日の朝の新聞に政党が広告を載せるというのは、私には記憶がない。私が見たのは朝日新聞だが、読売、毎日にも掲載されていたようだ。

「Yahoo!ニュース」(7月10日付)で、渡辺輝人弁護士がこう書いている。

「選挙投票日の当日に、政党が、自党の政策を宣伝する新聞広告を打つ目的は、選挙運動以外に何があるのでしょうか。このような常識的な理解から、選挙当日の政党広告はさすがに控えられてきたのです。常識的な理解を前提にすれば、今日の自民党の新聞広告は公職選挙法違反(法129条。選挙当日の選挙運動の禁止)に該当する可能性が高いはずです」

 さらに続けて、

「自民党の今日の広告が許されるのなら、投票所の前で、各政党が、例えば消費税増税に反対する署名を集めたり、残業代ゼロ法案に反対するアピールを行うことも特に問題ないことになるはずです。安倍政権は、自ら、暗黙の了解を破ることで、選挙当日まで「事実上の選挙戦」(選挙の公示前にマスコミがよく使う表現ですね)が行われる途を開いてしまったように思われます。(中略)自民党が、『選挙の公正』も『金権選挙の防止』も目もくれず、自分だけはその規制をないもののようにする行為をやったのは卑怯・卑劣というほかないでしょう」

 これを掲載した新聞社は、どうして断らなかったのだろうか? 少しでもカネが欲しいという卑しい根性が、理性的判断を狂わせてしまったのであろう。

 確か7月8日のNHK『ニュースウオッチ9』だったと思うが、冒頭は東京都知事選挙の話で始まり、次は九州を襲った豪雨のニュースだった。

 都知事選はいくら関心が高いといっても、ローカルな話である。この日は選挙戦最後の金曜日だから、参院選に時間を多く割くべきだと思うのだが、NHKの上のほうから、参院選にはなるべく触れるなという指示があったのだろうか?

 今回の選挙で勝つために安倍は、改憲を争点にしないために憲法のケの字も言わない、有権者の関心が高くなって投票率が上がっては困るから党首討論には出ない、ひたすら消費税を延期したことと、アベノミクスの力強い前進というバカのひとつ覚えでいくと戦略を練っていたに違いない。

 その一環として、NHKにはなんらかの指示をしていたのではないかと勘ぐりたくもなる。

 この形振り構わない安倍自民党に、野党、特に民進党のふがいなさが有権者に「自民党は嫌だけど仕方ない」という投票行動を取らせたことは間違いない。

 投票前には、安倍の経済政策を見直すべきだという世論が55%だと朝日は報じていた。原発再稼働や安保法制に対し、批判的な声は多数だったに違いない。憲法改悪についても、「9条を変えるなら反対」という世論が過半数を大きく超えていたはずである。

 だが、こうしたまっとうな声は、メディアの沈黙と安倍自民党の宣伝の巧みさと安倍の改憲隠しが功を奏して、大きなうねりにはならなかった。240万人といわれる18、19歳の新有権者たちも、笛吹けど踊らずであった。

 メディアで話題になっていた、明治憲法に戻せと主張する「日本会議」というウルトラ保守集団と安倍首相との関係は、保守化する若者たちにはかえって魅力的に映ったのかもしれない。

「18・19歳の若者たちの半数が自公に投票した」(朝日新聞7月11日付)そうである。公明党支持者は創価学会信者が多いから致し方ないが、自民党に若者の半数が投票したというのは驚き&ガックリである。

 推測するに、保守化した若者たちのほうが選挙に関心が高く、政治になんら興味のない連中の多くは天気のよさに誘われて、海や山へ行ってしまったのであろう。

 参議院で改憲勢力が3分の2を占めれば憲法改正発議ができるという戦後最大の選挙戦であるはずが、フタを開ければ投票率54.70%で、戦後4番目の低さであった。単純計算して、全有権者の3割弱程度しか自民党を支持していないのに、圧倒的な勝利を収めてしまったのである。

 私は改憲については、実はそう心配してはいない。いくら与党ボケしてなまくらになっているとはいえ、公明党の支持母体は創価学会である。学会の建前は平和であるから、改憲で戦争のできる国への全面転換は受け入れられるはずがない。

 私の安易な思い入れだけではないことは、選挙中の山口公明党代表の変節でわかる。

 選挙の第一声は「憲法改正についてもしっかり国会で議論を深め、国民の皆さまの理解を得られるように」とやや前向きな発言だったが、選挙途中で山口氏は「9条を含め、今の憲法は守っていくべきものだ。改正は否定しないが、自民党とアプローチが違う」と発言を修正している。

 推測するに、創価学会側からなんらかも注文があったに違いない。

1234567
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真