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週刊誌スクープ大賞

天皇陛下の生前退位報道、宮内庁全面否定も「NHKに抗議せず」その深いワケとは?

 何度か千葉の自宅に遊びに行ったことがある。庭先がゴルフ場の何番ホールかのティーグラウンド。朝早く起きて何発か打つことがあるという。「気持ちいいぞ」と巨泉さん。

 最後に訪ねたのは数年前になる。何度目かのがんと闘っていたが思ったより元気で、ワインをたらふく飲みカラオケで演歌からジャズまで歌い合った。

 ゴルフは生涯の友だった。奥さんはだいぶ後になってから始めた。「この間カミさんにオーバードライブされたよ」とうれしそうにいっていたのを思い出す。

 趣味を極め、セミリタイヤして年の3分の2を気候のいい海外で暮らし、がんとの闘いを決して諦めることはなかった。

 だが、巨泉さんが望んだ山口さんを超えることはできなかった。現代の連載は930回で無念の最終回。最後に気力を振り絞ってこう書いた。

「選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい」

 寿々子さんがこんなコメントをメディアに出した。

「皆様方も良くご存知のように夫は自他共に許す“わがまま”と言われ、痛い事やつらい事、待つ事、自分の意に染まない事は“避けて通る”というわがままでした。そんな夫が2005年に胃がんを手術、2013年には第4期の中咽頭がんで3度の手術と4回の放射線治療、昨秋には2度の腸閉塞と手術を、そして4月の在宅介護の鎮痛剤の誤投与と続いても、12日までの約11年間の闘病生活を勇敢に戦って来ました。特に4月からの3ヶ月間は死を覚悟し、全てを受け入れ、一言の文句も言わず、痛みも訴えずに、じっと我慢をしてくれました。(中略)そして最後は眠ったまま静かに旅立ちました。たぶん、若くして亡くなった大好きな母親の迎えを受けての旅立ちだと思います」

 永さんの死と参議院選の結果は、本人には伝えなかったと聞く。

 現代によれば、巨泉さんは3月に入院した国立がん研究センター中央病院では、がんは見つからなかったという。

 自宅での介護は問題ないといわれ退院してきて自宅にいたのだが、そこへ訪ねてきた在宅介護の院長が、がんセンターのカルテも読まずに、巨泉さんが背中が痛いというと、「背中の痛みを抑えるために薬を飲みましょう」とモルヒネ系の薬や貼り薬を処方されたというのだ。

 それによって、普通に歩いてトイレへも行っていた巨泉さんの容体が急変してしまった。

 見かねた奥さんと弟さんががんセンターの医師と話し、その後がんセンターへ戻そうと車で出た直後に意識がなくなり、集中治療室へ運び込まれたが、そこを出ることなく息を引き取った。

 後にこの医者は皮膚科の専門医であったことがわかった。医者からは「緩和ケアをするものだと勘違いしていた」と詫びの電話があったというが、とんでもない医者がいたものである。

 こうしたことがなければ、巨泉さんは最後までクオリティライフをまっとうすることができたのではないか。

 現代は巨泉さんのケースを、だから危険な手術や危険な薬は飲んではいけないのだと、同誌の特集に結びつけている。

 そうかもしれないが、この医者のケースはひどすぎると思う。巨泉さん、さぞかし無念だっただろうな。

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