日刊サイゾー トップ > 海外  > リオ五輪で中国がプロパガンダ活動
中国“ヤバい”漫画家・孫向文の「チャイナめった斬り」

アスリートは“国家の道具”にすぎない? リオ五輪における、中国のプロパガンダ活動

 そのため、国内には以前から孫楊選手を批判する声が多かったのですが、そのような意見はネット上には見られませんでした。実は今回の件を受け、中国中央宣伝部が五毛党たちにホートン選手を罵倒する言葉を投稿するように通達したのです。宣伝部による指導文書とみられるものが何者かによりネット上に公開され、一気に明るみになりました。

 またホートン選手の発言後、Twitter上には日本語や英語、ハングル語やロシア語で彼を侮辱する言葉が連投されたのですが、これらのほとんどが文法的に間違いだらけのものでした。実は「世界中の人々がホートン選手を批判している」というイメージ作りのために、五毛党たちが翻訳ソフトを使用し外国語で批判を投稿したのです。通常、中国国内ではTwitterの使用は不可能ですが、五毛党たちはVPN(仮想ネットワーク)を使用し、意見を書き込みました。彼らが批判を書き込んだ翌日、中国のメディアはこぞってその事実を取り上げてホートン選手を批判しました。メディア側が五毛党の行為を承知していたかは不明ですが、彼らの振る舞いは同じ中国人として大変恥ずかしく感じます。

 また、メダル表彰式に使用された中国国旗のデザインが間違っているという事態が発生したのですが、この件に対し、五毛党たちは「故意に決まっている! リオ五輪委員会を非難せよ」などと書き込みを行い、機関メディアは「中国に対する侮辱」と大々的に批判声明を発表しました。しかし、今回の五輪に使用された各国の国旗は、すべて中国・浙江省の企業が製作したというニュースが流れたこともあり(企業側は否定)、この「ブーメラン」ともいうべき茶番劇は、世界中の失笑を買いました。ホートン選手の問題といい、五輪の事情を政治的問題に結びつける中国の行為は、スポーツ界に対する冒涜です。

 五輪中継を見ればわかるように、日本のアスリートがメダルを獲得した際、本人、または彼らを育成したコーチや仲間たちが称賛されます。一方、前述のように、中国のメダリストたちは国家の名誉としてのみ称賛されるのです。僕は中国が民主化し、日本のようにアスリートが自分を素直に誇れる社会が到来することを望みます。

◆「チャイナめった斬り」過去記事はこちらから

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●そん・こうぶん
中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)がある。
<https://twitter.com/sun_koubun>
 

最終更新:2016/08/16 15:42
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