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『HiGH&LOW』は対ジャニーズ連合軍か!? テニミュ、ジュノンボーイ、メンノンetc…イケメンカルチャーの集大成がここにある

<『HiGH&LOW』総力特集>
興行収入だけでは測れない!映画『HiGH&LOW』ムーブメントに迫る
【映画ライター座談会/前編】『HiGH&LOW』は〈国産の海外映画〉である。
【映画ライター座談会/後編】HiGH&LOW』でHIROが望むのは「親殺し」? 今後の展開を予想する!。

1609_hl02.jpgなんたって全員主役です。「HiGH & LOW SEASON 1 完全版 BOX」

 『HiGH&LOW THE MOVIE』の中で一番印象に残るシーンといえば、世紀の大決戦シーンである。SWORDと呼ばれる5つの不良チームの前に、今作のヒールであり絶対無敵の琥珀(AKIRA)、さらに湾岸地区から来た新勢力MIGHTY WARRIORS、悪徳スカウト集団DOUBTら500人が立ちはだかる。ドラマシリーズでは敵対することもあった5つのチームが、今作では自分たちの街(陣地)を守るべく連合軍を結成。100人対500人の不利な闘いの中で、チームの枠を超えて共闘する姿、さらには無勢が多勢に挑むさまがこの映画のカタルシスの一つにもなっている。

 横並び一列に並んだSWORD連合軍の面々を見ると、LDH陣営はもちろんのこと、研音、スターダスト、ナベプロ、ホリプロ……と錚々たる芸能事務所から送り出された若手俳優たちがずらり。しかし、これだけのイケメンたちが並ぶ中、かの組織のイケメンだけがいない。そう、ジャニーズ事務所である。

 そこで、ふと思いつく。もしかしてSWORD連合軍、ひいてはこの映画そのものを「対ジャニーズ連合軍」として見ることもできるのではないか?と。半世紀ものあいだイケメン市場で栄華を極めてきた巨大組織ジャニーズ事務所に挑むため、LDHを旗頭に集まった各事務所のイケメンたちが連合軍を組み、今世紀最大のイケメン大決戦へ――。

 などというのは、少々大げさな煽りかもしれないが、非ジャニーズの俳優たちが大集合した映画であることは間違いない。

 本作は、言わずもがなLDHが自分の事務所を盛り上げるために作った映画である。しかし、そこに協力してくれる俳優たちへのリスペクトがあり、見ていて太っ腹だと感じるところがある。大半のLDHの面々はストーリーを動かす配役であるため、キャラ立ちは控えめになっているが、他事務所から起用した俳優たちに当てられた役はどれもキャラが濃く、衣装も派手で目を引きやすい。その甲斐もあって、登場シーンは短くても、観る者の印象に残るようになっている。実は、ネットで非公式に行われた各チームの人気投票で一位を獲得したのは、TAKAHIRO(EXILE)&登坂広臣(三代目J Soul Brothers)が演じた雨宮兄弟でも、岩田剛典(三代目J Soul Brothers)がリーダーを務める山王連合会でもなく、ダントツで窪田正孝率いるRUDE BOYSだったとも聞く。

1609_hl16.jpg連合軍じゃね!? SWORDの連合軍じゃね!?

 本稿では、そんなLDH外の人気キャラクターを、芸能界のどのような事務所に所属し、どんなバックボーンを持つ俳優たちが演じているのかを見ていきたい。その構成を追っていくと、なぜ筆者が「対ジャニーズ連合軍」と思いついてしまったのか、わかってもらえるのではないだろうか。

 最も人気があると言われるRUDE BOYSは、前述の通りリーダーのスモーキーを窪田正孝(1988年8月6日生まれ)が演じる。スターダストプロモ―ションに所属する窪田は、ジャニーズの藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)、同じ事務所の山崎賢人、そして大先輩の唐沢寿明まで、どんな人と組んでも、相手を生かしつつ、自分もどんどん輝いていく稀有な俳優である。線は細いが、アクションものは『ガチバン』シリーズ(2010〜14年)や『ヒーローマニア-生活-』(16年)でも経験していて評価も高い。仕事を選ばず、どんな作品でも安定感のある演技をする姿勢に注目が高まっているが、この『HiGH&LOW THE MOVIE』でもそんな経験を活かし、少ない登場シーン、少ないセリフの中で、最も深い印象に残る演技を見せているのではないだろうか。スモーキーの登場シーンは、監督の思い入れがあるのではないかと思われるくらい、スローモーションで美しい映像になっている。

 RUDE BOYS、もう一人の他事務所俳優は、シオンを演じる永瀬匡(1993年1月22日生まれ)である。映画版ではあまり説明がない登場の仕方だったが、前日譚であるドラマシリーズでは物語の重要な役回りを担っていた。彼は福士蒼汰を擁する研音所属で、同事務所内で結成されたMEN ON STYLEのメンバーだ。もともとはジャニーズJr.に属していたが、2010年に退所し、現事務所に。『桜蘭高校ホスト部』(11年)で俳優デビューし、『仮面ライダーウィザード』(13年)や『八重の桜』(同)などに出演。昨今では珍しい濃い眉毛に男くさい顔立ちで、映画『天空の蜂』(15年)では、危険をものともせず、地上800mの空中でヘリに乗り込み子どもを救出する若き自衛隊員がハマり役だった。

 赤い法被のお祭り集団・達磨一家の頭目・日向紀久を演じる林遣都(1990年12月6日生まれ)も、窪田と同じくスターダストプロモ―ション所属。高校時代に映画『バッテリー』(07年)で主演デビュー。その後も『DIVE!』(08年)や『ラブファイト』(同)など、青春映画で主演を重ねる。デビュー数年は幼く青いイメージもあったが、最近ではピース・又吉直樹原作のNetflixドラマ『火花』(16年)で主人公を演じ、新たな顔を見せ始めたところで、この『HiGH&LOW THE MOVIE』でアクの強いキャラクターを再び演じたことは、非常に良い流れに思える。

 鬼邪高校の番長で、ヤンチャな少年特有の愛らしさを持つ村山良樹を演じる山田裕貴(1990年9月18日生まれ)は、ワタナベエンターテインメントのD-BOYSのメンバーである。俳優デビューは『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)。その後は『GTO』(12年)や『イタズラなKiss~Love in TOYO』(13年)などの学園ものに出演。2016年は、前田司郎が脚本・演出を手掛けた舞台『宮本武蔵(完全版)』での、自然な肩の力の抜けた演技で高い評価を得ている。今まさに伸び盛りの俳優と言っていだろう。

 鬼邪高校の生徒で村山をライバル視する、メガネで一見真面目風なキャラクターが印象に残る轟洋介を演じる前田公輝(1991年4月3日生まれ)は、ホリプロ所属。映画『ひぐらしのなく頃に』(08年)では主演を果たし、『ごくせん』(同)、『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(11年)などの学園ものも経験。若手イケメン俳優が集合する歴史バラエティとして、一部で人気を博した『戦国鍋TV』(12年)にも出演していた。近年は『デスノート』(15年)、『コウノドリ』(同)、『ゆとりですがなにか』(16年)など話題作への出演も続く。そうした作品ではゲストに終わることも多い印象だったが、本作ではひとりクールな風貌で目を引いた。

 鬼邪高校・古谷秀人役の鈴木貴之(1990年2月21日生まれ)は、モデル事務所のアイビージージャパン所属。ミス・ユニバース・ジャパンの男性版ミスター・ジャパンの初代に選ばれてデビューしたという経歴を持つ。モデル事務所だけに、俳優としての出演作は多くはないが、『私のホストちゃんS~新人ホストオーナー奇跡の密着6カ月~』(14年)や『ごめんね青春!』(同)、『ダメな私に恋してください』(16年)に出演。永瀬と同じく、近年には珍しい屈強な男臭さが、本作で生かされたように見えた。

 傷ついた女性たちを守るWHITE RASCALSのKOOを演じる遠藤雄弥(1987年3月20日生まれ)は、山田と同じくワタナベエンターテインメント所属。D-BOYSの創設メンバーとして活躍し(12年卒業)、『ミュージカルテニスの王子様』では主人公の越前リョーマを初代から二代目にわたって演じていた。映画『クローズEXPLODE』(14年)ではスキンヘッドでヤンキーを熱演し、それまでのイメージを払拭。本作でも存在感を放っている。

 WHITE RASCALSのKAITOを演じる柳俊太郎(1991年5月16日生まれ)は、浅野忠信、加瀬亮、新井浩文など、第一線で活躍し、独特の雰囲気を放つ俳優たちを抱えるANOREの所属。「MEN’S NON-NO」モデルグランプリを受賞したことから、この世界に入った。役者としては、映画『劇場版 仮面ティーチャー』(14年)や『クローズEXPLODE』などの学園ものへの出演が多い。国際映画祭で活躍する名だたる監督との仕事も多い先輩たちの活躍にはまだまだ追いつかないが、2016年には清水崇監督(『呪怨』)の『雨女』で重要な役を演じている。これからの活躍が期待される俳優である。

 KAITOの公私に渡るパートナーで、同じくWHITE RASCALSのKIZZYを演じた稲葉友(1993年1月12日生まれ)はレプロエンタテインメント所属。デビューのきっかけはジュノン・スーパーボーイ・コンテスト、その後は『仮面ライダードライブ』(14年)に出演と、イケメンのエリートコースを歩んできた。今年は『MARS~ただ、君を愛してる~』に出演したほか、BSスカパー!の『ひぐらしのなく頃に』では連続ドラマ初主演を果たした。

 加えて、K-POPの世界からは、BIGBANGでおしゃべり担当のV.Iが海外マフィア・チャンソンの御曹司の李を演じ、さらにビジュアル系エアーバンド・ゴールデンボンバーのメンバー全員もWHITE RASCALSとして出演。全方位型イケメン対応ともいうべき、どこから襲撃されても防衛できる完璧な布陣である。

 ここまで見てくるとわかるように、複数の芸能事務所から俳優を起用しているだけでなく、それぞれに『仮面ライダー』、戦隊もの、テニミュ、ジュノンボーイ、ミスター・ジャパン、「MEN’S NON-NO」モデルなど、さまざまなイケメンの登竜門からデビューした人物が多い。まさに、対ジャニーズの連合軍と呼ぶにふさわしい顔ぶれだ。また、彼らのほとんどが、10代の頃に学園もので活躍したのち、20代に入って自分がどこに向かうべきか模索している途中でもあった。そんなときに出会った『HiGH&LOW THE MOVIE』という作品は、彼らに新たな活動のきっかけを与えているのではないだろうか。

(文/韮澤優)

最終更新:2016/09/17 20:00
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