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『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』出版──現場にいたアイドルヲタクの雑感

 この本で、大きな割合を占めているのが、アイドル冬の時代の当事者、つまり当時活動していたアイドルたちへのインタビューだ。

 答えているのは、高橋由美子、相田翔子(Wink)、田中律子、はねだえりか(CoCo)、宍戸留美、下川みくに(チェキッ娘)、森下純菜の7人。いずれも、冬の時代において重要な意味合いを持つアイドルたちの人選である。

 例えば、高橋由美子は、この時代、あくまでも従来型のアイドル歌手を貫いた人だし、Winkは数少ないこの時代の成功例である。

 CoCoやチェキッ娘は、その前の時代の『おニャン子クラブ』のフォロワーでありながら、現代に続くアイドルグループの遺伝子を繋いだ人たちだし、宍戸留美は初めて「フリーランス」として活動をしたアイドルである。

 インタビューでは、当時の辛かったことや嫌だったことなどを話している人も多い。

 当然、アイドル活動自体が苦しい時代であったことは確かだし、本のタイトルにも「光と影」とあるように、よかったことだけを掘り下げるのでは意味がないのかもしれない。

 しかし、正直なところを言えば、当時彼女たちを見て心をときめかせていた者からすると、あえて聞きたくなかったような話もちらほら出てくる。

 あの頃、本当にピュアな気持ちでファンをやっていて、その夢を壊したくない人は、注意して読んだ方がいいと思う。

 ちなみに、あとがきによれば、オファーしたものの断られた人たちもいたとのこと。確かにこの面子であれば、あの人にもいて欲しかったとか、あのグループの内情も聞いてみたかった、というような感想は出てくる。

 しかし、先に挙げた「当時のファンの思いを大切にしたい」という気持ちから、あえてインタビューに応じないというのも、ひとつの正しい選択肢であるとは思う。

 本の後半では、冬の時代の年表や主だったアイドルの紹介を通して、その時代のアイドル界で何が起こっていたかを分析し、いくつかの結論を導き出している。

 1980年代後半、人々の好みは多様化し、家族の誰もが見られるような歌番組が減少した。

 アイドルにおいても、これまでのようないわゆる「アイドルポップス」から、ダンスミュージックや、打ち込みを多用した小室サウンドのようなものまで広がっていった。

 そんな状況の中、それぞれのアイドルとその運営は、あの手この手と色々な策を考え、試さざるを得なくなった。

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