「いい話だなー」率の高い注目脚本家を直撃!『ちびまる子ちゃん』脚本・高橋幹子インタビュー!! 知ってそうで意外と知らない『まるちゃん』制作現場とは!?
―― やっぱりプレッシャーも大きかったんですね。
高橋 ええ。でも『まるちゃん』ですよ、挑戦しない人はいませんよ! 周りからよく言われます、「空きがあるならぜひやってみたい」と(笑)。国民的なアニメですし、さくらももこ先生の作品に携われるということで、もう参加する以外の選択肢はありませんでしたね。何とかしてこのチャンスを掴みたい! という一心でしたね。
―― 高橋さんが脚本として参加されるようになって、最初の作品がオンエアされるまでの経緯をお聞きしたいのですが。
高橋 初めての作品は第884話(Bパート)「『たまちゃん、藤木の紹介に悩む』の巻」(12年12月2日放送)ですね。これは高木(淳)監督が自ら絵コンテを描いてくださいました!
熊谷那美(以下、「熊谷」) あ、そのお話、私が制作進行を担当していました!
―― 演出・絵コンテを担当している方が複数いらっしゃるんですよね。
熊谷 基本的には5人でローテーション組んで担当してもらっていますが、この時はスケジュールがきつくて、監督が「Bパートは俺がやるよ」と言ってくださったんです。
―― 高橋さんのデビュー作を監督が担当したのは偶然だったんですね?
高橋 あら、たまたまだったんですね? 聞かなきゃよかった、選んでくれたのかと思っていたのに(笑)。
熊谷 でも脚本を読んで俺がやると言ってくれたんですよ。
―― 脚本は具体的にどんな段階を踏んで、作られていくものなんですか?
高橋 まずネタ出し会議が2カ月に一度あります。大体半年後にオンエアされるお話を、今だったら来年の5~6月に放送される分のお話のネタを、会議で脚本家から提出するんです。季節的にはちょうど真逆になるので、ちょっと大変ですが(笑)。
熊谷 会議は監督、日本アニメーションのプロデューサーと文芸担当――現在は私ですね、あとフジテレビのプロデューサーさん、さくらプロダクションさんのご担当の方の5人でやります。そこでネタが採用されたら、各ライターさんにネタをお戻しして、プロットづくりからお願いしています。
高橋 プロット=あらすじをA4用紙3~4枚ぐらいにまとめたものを提出します。このプロットにNGが3回出るまでにOKをもらわないと、脚本執筆に移れないんです。
―― ネタ出し会議を通っても、プロットが通らないと脚本にならない?
高橋 そうですそうです。ネタからプロットから移行しても、いざ書き始めてみると意外とお話が進まない、というケースもありまして。
だからOKが出なかった場合は、より良くなるようにブレスト(ブレインストーミング。 集団でアイデアを出す会議)して、改良を重ねて。それでOKが出たら、脚本に取り掛かっていきます。この脚本も、基本NGが3回出るまでに上手くいかないときは、そのお話は「どこかが上手くいってない」ということで採用されません。
―― それはなかなか厳しいですね……。
高橋 私も最初に条件を聞いたときは厳しいと思いましたね。ただ、やっぱり面白いお話というのはすんなり通りますからね、これは何年かやってみてわかったんですけど。もちろんちゃんと途中で直しはするんですけど、やっぱりお話の芯がしっかりしているものは、進行が早い。芯がブレているものは、「ん?」と何かが引っかかりやはりなかなか進まない。だから自然と、このスタイルが出来上がったんじゃないでしょうか。
熊谷 そうですね、長い間、そういうやり方と聞いてます。
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