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【おたぽる】

【劇場アニメレビュー】CGはイマイチながらお話は面白い――がオチがちょっと……!? 『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』第3章

 また『RWBY』もそうだが、こちらも第2章、第3章と連なるたびに作画が良くなっているような印象を受け(こちらの目も慣れてきた?)、むしろ作品独自の味わいをもたらしてくれている気分になっていく。

 さらに今回は「009と美女」という、映画『怪獣戦争』でも顕著な設定も設けられているが、それによって003がさりげなく嫉妬している図が妙に微笑ましく映えていた。

 そうこう思いながら、今回はとても面白いものを見させていただくとともに、今年大躍進だったアニメ映画のトリを努めるのはこの3部作であったかと喝采するほど……であったのだが、その興奮と歓びは哀しいかな、第3章の後半から徐々に雲行き怪しくなっていく。

 かつてファンから酷評された映画『超銀河伝説』にならう悲愴な展開に今回もなっていくのはまだ挑戦として受け止められるものの、ブレスドの指導者エンペラーが009の風貌にどことなく似ていて、しかも声が昭和カラ―版で009を演じた井上和彦というのも、何やら意味深ではあれ、結局はその設定を活かしきったラストになりえていない。

 というよりも、この終わり方では何も解決しておらず、さらなる続編がなければ見る側は納得できないであろう。しかし、第3章のエンドタイトル後に映る一瞬の画を見て、思わず映画館の椅子からずり落ちそうになった。

「ふざけんな!」

 あまりにもひどいオチである。

 鑑賞後、パンフレットを買って作り手側のコメントを読んでも、全然納得がいかない。

 最近、謎の種だけいっぱい撒いておいて、劇中でそれらを刈り取ることをせず、「謎を知りたければコミカライズやノベライズを読んでね」みたいなアニメ作品が増えてきているように思うが(『RE:CYBORG』もそのケがあった)、今回はそれですまされるものではないだろう。

 何よりもこの映画を見るファンは、各キャラそれぞれの運命こそを見届けたいのだから。

 少なくとも第3章の途中までは、キャラ・デザインや作画云々の議論を越えて、『君の名は。』や『この世界の片隅に』『聲の形』といった2016年の秀作群と同位置に並べたくなるほどの衝動に駆られていたのだが、結果としてはどっちらけに終わってしまい、その日一日何もやる気が起きないほどだった。

 正直、こんな仕打ちを受け続けるようならば、神山『009』はもういいや。

 むしろ『サイボーグ009VSデビルマン』のシリーズ化こそを願うことにしよう(やりそうな気配はなさそうだけど)。
(増當竜也)

最終更新:2016/12/15 07:15
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