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『ジャポニカヒップホップ練習帳』発売記念インタビュー

子ども時代と地続きの関係の中で生きる楽しさと面倒くささ──「お笑い・プロレス・ドリームハイツ」三題噺でたどるサイプレス上野の足跡

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――それでヒップホップの定番でもある、過去を振り返る曲には向かわなかった。

上野 ヤンキー気質の不良って、勝ち上がって社長になるような野心が強くて、ビジネスに向かうヤツが多いんです。結果、猛勉強して若くして社長になったり、法律事務所を始めたりする。ろくな死に方しねーなと思ってたスケーターの後輩たちなんて、それぞれ一国一城の主になってますもんね。「え? おまえら、かなりやってるよね?」と思うようなヤツが税理士になって、今やタワーマンションに住んで、「先輩たちがドリームを守ってくれる」ですから。バカにしてんのかこいつらと(笑)。

 でもそれって、自分を捨ててビジネスに徹する覚悟があるんですよ。ラッパーでも昔話系ができる人はひとつ“上がってる”人なんです。NORIKIYOくんとも、マジでしょうもないことを自慢しあってる時期から知ってるし(笑)。今の生活があるから昔を歌える。

――人が変わったというより、ひとつステージがあがったんですね。

上野 そうなんですよ。でも俺は昔から地続きで延長線上なんで。街も飛び出してないし、いまだ毎週ヤサ(ドリームハイツの一室を仲間で買い取った作業部屋)で反省会してるし。「また揉めごと起こしたらしいじゃねーか」と説教してるのが36才で、「すいません」と謝っている後輩が35才(笑)。

 変わらなきゃいけないのかなとも思うんですけど、変わったら変わったで周りが窮屈に感じるだろうし、仲間と決別するのもムリだと分かってるんで。そういえばこないだ後輩の女に、「最近、天狗になってる」ってしつこく言われました。その子に初めて会ったの、今年の夏なんですけどね!(笑)

――面倒な友達が多くても、縁を切りはしない?

上野 腐れ縁で、楽しいは楽しいんです。ただ何回もダメだと思ったし、疲れます。なんせ現役で揉めごとがあるんで(笑)。仲間に店のオーナーやってるヤツがいるんですけど、もともとヤンキー寄りだったのが改心してまっとうになったと思ったら、どうにも気質が抜けない。俺がその店に立つ話になったのに病気で行けなかった時、来店したヒップホップ好きが酔って、ずいぶん客に絡んだらしいんですよ。そうしたらそのオーナーが、「てめー、外出ろ! 二度と来るな!」と叩き出したみたいで。それ、オーナーのすることか? と(笑)。でもそっちのお客さんより、仲間を選びたいと思っちゃうんです。

――ケンカも多いけど、和解も多いんでしょうね。

上野 「揉めたくない」が前提にあって、面倒くさいからすぐ仲直りしますね。それにどうしようもないヤツらばかりでも、ヒップホップによくある金持って逃げる事態はないかなと。多分ぎりぎりで踏みとどまるはず。そう言いながら、謎みっちゃん(サ上とロ吉と同じ、ZZ PRODUCTION所属アーティスト。ドリームハイツ出身)は踏み込む可能性あるかも(笑)。でもまだ信頼がギリギリ勝ってるな。

――51対49くらいで。

上野 結局、厄介ごとを楽しむ癖がついちゃいましたね。

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