日刊サイゾー トップ > 社会  > 『君の名は』中国大ヒットの裏側

『君の名は。』中国で90億円突破も、実入りは3億円だけ……“クールジャパン”の課題とは

「その昔、鉄腕アトムがアメリカで『アストロボーイ』として放映されたとき、原作者の手塚治虫には1円も報酬が入ってこなかったということがありました。これは、アメリカの権利会社から『アメリカの法律で一部の表現が問題視され契約違反だ』という難癖がつき、屈したから。このあたりのいきさつは当時、アトムのシナリオライターだった豊田有恒さんが自著にも詳しく書き残していますよ」(同)

 アトムの海外ヒットは結果的に手塚治虫の名を世界中に知らしめ、現在の日本アニメの世界的人気となる礎を築いたとはいえるのだが、「もともと外交下手な日本の政府も、この部分には特に無関心」と経営者。

 実際、著作権を中心とした知的財産を売るコンテンツビジネスは、日本が苦手といわれてきた分野でもある。日本のアニメやマンガを海外に売り込む際、その権利を行使するノウハウがアメリカなどに比べてもかなり弱く、正当な利益を還元できていないというケースはいくらでもある。

「日本人は、良いものを作れば、あとは勝手に売れてくれる、というビジネス交渉に無頓着な職人気質があって、そのノウハウを成熟させてこなかったんですよね。いろいろなジャンルで先進国とは思えないパクリが横行していても、コンテンツを売る側に専門知識がなく、やられ損になることが多いのは、権利の管理が下手だからでしょう」(同)

 著作権の認識が発達していなかった60年前ならともかく、この現在でもお人好しな商売のおかげで製作費を下回る金額でコンテンツを手離し、他人にばかり儲けさせているのは傍目にももどかしく、ただでさえ苦しいアニメ制作現場をより疲弊させることにもつながる。この点はまったく「クール」ではない話ではないか。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2016/12/20 22:30
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