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【おたぽる】

【劇場アニメレビュー】カラフルな映像とポップなダンスと“東映カラー”が映える、東映アニメ60周年記念作『ポッピンQ』レビュー!

1612_pq.jpg(C)東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 東映アニメーション60周年記念作品『ポッピンQ』は、それぞれ心の悩みを抱えた4人の中学3年生の少女たちが、突然異世界“時の谷”へ迷い込み、それぞれの少女たちと心を通わすことができるポッピン族の“同位体”と力を合わせ、時の谷の危機を救おうというものである。原作ものではなく、オリジナル・ストーリーの映画化という点もどことなくうれしい。

 まずは冒頭、少女たちの青春描写のリアルさに目を見開かされる。黒星紅白によるキャラクター原案が愛らしくも作品世界に見合っており、それだけで既に「今」を生きる少女たちの思春期独自の心情の揺れなどが巧みに醸し出されているように思えるほど。またこれまで「プリキュア」シリーズの3DCGダンス映像演出などを手掛けてきた宮原直樹監督の目線も瑞々しくも繊細で、予備知識も何もないまま本作に接する観客は、青春映画以外の何物でもないと勘違いしてしまうことであろう。

 しかし、リアルな現実から急転直下して、彼女たちはファンタジックな世界へ迷い込み、まるで「プリキュア」の妖精たちのような小っちゃくも愛くるしい同位体キャラが登場するに及び、「いったいこの作品は何?」と、戸惑いを覚えてしまった。正直なところ、現実世界での繊細な青春ストーリーをそのまま展開させていったほうがいいのに!? といった気分にも囚われてしまい、急に作品世界へ入り込めなくなってしまう。そんな時間がしばらく続いた。

 しかし、時の谷の危機を救うため、少女たちがダンスを習うという、一見素っ頓狂にも思える設定が登場した瞬間、はたと気づかされるものがあった。

 本作は少女と妖精のコンビネーションの妙で毎回魅了し続ける『プリキュア』シリーズを卒業した女の子たちに、続けてアニメーション映画の楽しさを伝えるために作られたものに他ならないのではないか。

 リアル青春ストーリーと『プリキュア』的ファンタジー世界、そしてローティーンの女の子なら誰もが興味を持つであろうダンスの導入。それは3DCGダンス描写を得意とする宮原監督の個性にも即したものであり、また『プリキュア』から一段成長したかのような衣裳の可愛らしさなども特筆的なものもある。

 そうこう考えていくと、こうした多彩な要素を融合させることによって、ちょうどファミリー向けアニメから離れがちな小学生の中高学年から中学生にかけての観客層を再び映画館に呼び戻し、ひいては今後もその愉しさに浸り続けてもらいたいという、若きアニメ・ファンの育成目的(いじわるな見方をすれば、アニメヲタク少女をもっと増やしましょうとでもいった、まるで『プリキュア』シリーズの悪漢たちを彷彿させる思惑……いや、それはウソです!?)で作られたものとみた。

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