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『芸人迷子』出版記念ロングインタビュー

元ハリガネロック・ユウキロックが語る、お笑い界で「迷子」になった芸人がすべき“決断”

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■芸人全体が「村人A」化

――ユウキロックさんはストイックすぎるくらいにストイックだったんだなと、本を読んであらためて思いました。

ユウキロック 芸事に関するこだわりが強すぎるので辞めた、っていうところはあるんでしょうね。

――今のお笑い界では、その「こだわり」がマイナスに働くこともあると思いますか?

ユウキロック 今は僕がやってた頃より、団体競技感が強い。みんな仲いいほうがいい。みんなと合わせられる、協調性のある人間が生き残れるのかなって。ダウンタウンさんみたいな人は絶対に現れない。

――お客さんが、そういう芸人を望んでいるのでしょうか?

ユウキロック お客さんというより、テレビじゃないですかね。テレビが求めていると思う。だから、テレビの変革者の人が現れて、芸人の変革者が現れて、そのときに変わるんかなぁとは思いますね。それこそダウンタウンさん、ナインティナインさん、ロンブー(ロンドンブーツ1号2号)さん……あぁロンブーは後輩か(笑)。ロンブーくらいまでじゃないですかね。囲うじゃないけど、冠番組しかやらせないでしょ。今はそういう芸人を作ろうともしていないし。それより、売れてる先輩と仲良いほうがチャンスもあるんでしょうし。

――芸人全体が「村人A」化しているのかもしれないですね。

ユウキロック そうです。全員がそうなってる。

――お正月に、とろサーモンの久保田(和靖)さんがTwitterで「売れた者の金で海外にいってる去年何もしてない労働なき後輩や先輩に告ぐ」とつぶやいていたんですよね。君たちが海外の景色を見ている間に、自分は劇場でお客さんを笑わせていたという旨の。

ユウキロック あいつ……そういうキャラじゃないですけどね(笑)。エライですね。まぁでもね……この本には書かなかったですけど、それしなかったことも僕のひとつ失敗かなと思ってるんですよ。僕は、なかなか扱いにくい芸人だと思われていた気がするんですよ、先輩たちから。相方は相方で、好きな人としか一緒にいない。両方とも、(先輩との)そういう付き合いをしてこなかったのが大きかったかなぁと思うんです。

――難しいですね……。

ユウキロック それこそ久保田くんが言っていること、売れてる先輩芸人の金で海外に行くことを仮に能力のある芸人がやっていたとしたら、そのときのエピソードを劇場やバラエティ番組で面白おかしく話すじゃないですか。でも、なんでかわからないですけど、先輩のお金で海外行く芸人は能力ない人間が多いんで。

――……。

ユウキロック あ、全部書いてもらっていいですからね。躊躇しないで結構ですから。

――「先輩のお金で海外行く芸人は、能力ない人間が多い」。

ユウキロック だって、自分の金を使わずに先輩と海外行って、エピソード作って、先輩の面白いところって先輩自身が言うわけにはいかないんで、そいつが出てきて面白おかしく話したらテレビで使われますよ。たとえば久保田くんがね、久保田くんは腕のある人間ですから、うまいことひょいひょいして、先輩と一緒に旅行行って、そういうことやったら状況も変わってくるかもしれない。久保田くんの言ってることは正しい。ただ、この世界では何が「正しい」のかわからない。

――ご自身の経験を踏まえると。

ユウキロック そうですね。

――本当に芸人さんが「売れる」ための要素って、多すぎますよね。「人気」「実力」「かわいげ」……「タイミング」もあるでしょうし。

ユウキロック タイミングが一番かもしれませんね。

――ユウキロックさんが活躍されていた頃だと、やはり『M-1』でしょうか。

ユウキロック 『M-1』はデカイですね。『M-1』前後で、環境がガラッと変わりましたからね。『(オレたち)ひょうきん族』(フジテレビ系)終わって以降、芸人全体で売れるっていうのが、しばらくなかったんですよ。だから僕たちは、個の力で売れていった人たち、ダウンタウンさん、とんねるずさん、ウンナン(ウッチャンナンチャン)さん……その人たちに憧れて、その人たちを目指してやってきたんです。ネタで評価されてテレビ出て冠やって、そこでコントやって……みたいな。みんなトガってたけど、ピュアやったんですよ。「ネタさえ評価されたらええのや」って。「面白かったら、なんとかなる」って。それが『M-1』ができて、『エンタ(の神様)』(日本テレビ系)とか『(爆笑)レッドカーペット』(フジテレビ系)とかどんどん始まって、そのシステム自体が変わりましたし、全体で売れるようになった。今はその「『M-1』さえ獲れば」……というのすら違うでしょ? 賞獲った人じゃなくて、テレビ的にいいと思う人を使います……という。今は、どうやったら売れるのかわからない。でも、ある意味、チャンスも多くなっている。若い頃は後輩に「兄さん、このネタどうですか?」と聞かれたら、すぐ「こんなん絶対アカンで」「売れへん」とか答えられましたけど、そういうネタがテレビに出たりするので、今は何も言えない(笑)。素っ裸でおぼんで前隠して踊るみたいな芸人を、昔はみんな嫌ってましたからね。「汚れや」言うて。トガってたんでね。でも、今はそんな時代じゃない。何がどう化けるかわからない。どう売れたらいいかわからん分、どう売れるかもわからない。

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