日刊サイゾー トップ > その他  > アイドル以前—中学生の頃の姫乃たま
【おたぽる】

中学時代は生きづらさのかたまりだった……地下アイドル以前の姫乃たまの世界

 私の中学校生活はまさに終わりなき日常だった。

 ノストラダムスの予言はとっくに外れていたし、ブルセラブームも廃れていたうえに、上の世代が暴れん坊だったせいで、誰の素行も悪くないのに校則の締め付けばかりがきつくなっていた。少しでも目立つ奴がいたら校則のせいにしてすぐに潰してやろうという雰囲気が学校中に充ち満ちていた。

 地毛が栗色の子が黒染めさせられているのを見て、身震いした。とにかく生徒が自然体でいることは許されなかった。

 そんな環境に入学してすぐ、私は女の先輩たちから「生意気」と言われるようになった。年齢がひとつふたつ違うだけで、こんなに人に対して強く当たっていいものかと驚いた。

 母親は、「私も先輩から生意気だってよく言われた」と慰めてくれた。私も母親も、意志の強そうな顔立ちをしている。

 最近も似顔絵を描いてもらったら、「キツイ顔になっちゃいました」と謝られた。でも似顔絵はよく似ていた。服装や喋り方に緩和されているだけで、私はキツイ顔をしている。中学校でみんなと同じ制服を着ると、それが際だった。

 私と同じ中学を卒業している伯母は、体育館に呼び出されて馬乗りにされたと話してくれた。さすがにそれはひどすぎるのでは……と思ったけど、馬乗りするほど暴力的になれない環境が先輩たちを陰湿にしているのも明らかだった。

 いつまでこの生活が続くのか。人生はずっとこんなものなのか。退屈と絶望だけがあった。

 同級生とは話が合わなくて、オタク気質の子と仲良く喋ることが多かったけど、私はアニメにもボーイズラブにも興味がなかったので、肝心なところでわかり合うことができなかった。担任の先生からは、「なんか目立つから」という理由で三つ編みで登校するようにお願いされた。

 私はヒップホップが好きだった。「妄走族」っていうグループが好きで、ずっと『PROJECT 妄』というアルバムを聴いていた。今でも聴いている。

 喧嘩がどうとか、大麻がどうしたみたいな歌詞ばかりだけど、ラップにできるほど、好きなことや主張があるって羨ましくて、同じような趣味の人たちが集まっているところも羨ましかった。彼らも十数年前には私と同じ町で中学生として生きていたはずなのに、住む世界が全然違った。

 私は、ずっとこんな世界で生きていくのだろうか。

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