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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.411

超保守化する米国社会に反旗を翻した男がいた!! マシュー・マコノヒー主演『ニュートン・ナイト』

newtonknight03黒人女性レイチェルと事実婚状態だったニュートンだが、故郷に残してきた本妻と息子も新居に迎え入れる。オープンな性格だった。

 南北戦争は1865年に北軍の勝利で終わるが、ニュートンたちの戦いはまだ終わらなかった。敗軍となった南軍の兵士たちは地元の南部に帰ってくるが、戦争に負けた憂さ晴らしのためにクー・クラックス・クラン(KKK)を結成。当初は白いシーツを頭から被って夜道で村人たちを脅かして楽しんでいた親睦会だったが、黒人に参政権が認められて白人の地位が低くなることが面白くない不平分子が次々と集まり、KKKは白人至上主義を唱える秘密結社として一大勢力となっていく。黒人のレイチェルを内縁の妻とし、共に戦った黒人たちの公民権運動に協力していたニュートンは、KKKにとっても目障りな存在だった。南北戦争後のニュートンは荒れ地の開墾に努めながら、KKKをはじめとする超保守勢力と戦うはめになる。

 ニュートンたちの戦いは、さらに世代をまたいで続く。ニュートンとレイチェルの間に生まれた子孫は、黒人の血が混じっていることから南部の州法(ジム・クロウ法)で有色人種とみなされ、1960年代になっても白人との結婚が認められずにいた。ニュートンの子孫たちもまた、偏見まみれな南部の保守勢力との闘いを余儀なくされる。ニュートンは決して過去の人物ではない。人種差別も社会格差もない“ジョーンズ自由州”という理想郷は、短い期間だったが確かに実在した。そしてニュートンが掲げた旗は、今も自由な風を浴びてはためいている。
(文=長野辰次)

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『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』
製作・脚本・監督/ゲイリー・ロス 
出演/マシュー・マコノヒー、ググ・ンバータ=ロー、マハーシャラ・アリ、ケリー・ラッセル
配給/キノフィルムズ 2月4日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
(c)2016 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.
http://newtonknight.jp/

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