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『山田孝之のカンヌ映画祭』第4話 理不尽な要求が「大手映画会社・東宝」の“本音”をあぶり出す!?

「山田一人が何かを決め、その目的地に向かう道中、呼び出された山下と芦田が直前で知らされる」という流れが、お決まりになりつつある。

 そして、主演とはいえ一役者なのに、毎回芦田が同行するのも決まりのようだ。彼女がいることで、どこへ行くにも若干の社会科見学感が醸しだされるのが、親切といえば親切だ。

 車内で、芦田愛菜にプレゼンの経験の有無を問う山下。芦田をなんだと思っているのかはわからないが、彼の中で芦田は、山田よりは自分のガワにいる「唯一の味方」という認識に見える。

 学校の「調べ学習」とかで発表をしたことはあると言う芦田に対し、「じゃあ大丈夫か」とあっさり安堵する山下。大丈夫なのか。

 日比谷の東宝本社ビルで山田らを出迎える山内章弘プロデューサー。『電車男』(2005)や『何者』(16)など山田出演作品もそうだが、昨年は『シン・ゴジラ』のエグゼクティブプロデューサーとして取材など多数受けていたので、目にした方も多いはずだ。

 きっちりとした髪型にメガネにスーツ。

 ハットにリュックにTシャツというバックパッカーのような山田山下コンビとは、同じ業種とはいえ一線を画す出で立ちだ。

 穏やかな会社員という大人の表情を見せつつも、一行の得体の知れぬ訪問に警戒の色をにじませているように見える山内。おおまかに「映画の企画がある」という話しか聞いていないらしい。

 すぐさま、「カンヌを目指す映画を作りたい」との旨を伝える山田。

 第2話の日本映画学校教授で映画プロデューサーの安岡卓治にしても、第3話の有村昆にしてもそうだが、ここでもまず、山田が出演するのかどうか? ということを気にされる。これは山田が今回、裏方のようなアプローチをしてきている以上、誰しもがひっかかる部分なのだろう。そして、山田が出演しないと聞くと、質問した人は一様に手がかりを失ったような表情を見せる。

 芦田が主演であると聞いた瞬間に、もはや処理できないからなのか、笑みを浮かべる東宝・山内。いきなり困惑した顔を見せないためには、そうするしかないのだろう。

「山田は既成の映画作りに縛られたくないため、現時点でプロット(大まかな話の設計図のようなもの)や脚本を作るつもりは」ない(テロップ)らしく、今現在、唯一提示できるものであるパイロットフィルムを見せる。

 当然これが初見である東宝・山内の後ろで、見守るようでいながら、同じように初見でフィルムを観る監督・山下。

 内容は、前回イベントで上映したのと同じ、殺されかけて目覚めたらしき芦田が森の中で絶叫し、その後ろに父親らしき男性が首を吊っているという、ごくごく短い映像だ。『穢の森』というフランス語のタイトルと、若干のスタッフ名以外、なんの説明もない。

「これ……笑」

 主演が芦田だと聞いた時と同じ種類の笑みを見せる山内。

 やはり脚本がないのが気になるらしく、「脚本はこれから?」「ジャンルは?」と、とにかく手がかりが欲しい東宝・山内に対し、「ある程度のことは固まってはいるんですけど」「ジャンルはあまり考えないからな……」と答えにならない回答を返す山田。

 山田ではらちが明かないと思ったのか、山下に、今までの作風と違うことに触れつつ、「(山下が)これもデレクション(演出)されてるんですよね?」と問う山内。

「はい、山下さんが監督です」と、すかさず返答する山田。

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