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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.417

ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を“神の視点”で捉えた『哭声 コクソン』

ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を神の視点で捉えた『哭声 コクソン』の画像2現代医学では娘は助けられない? ジョング(カァク・ドウォン)は民間信仰に救いを求めるが……。

 村人たちの間では、連続する殺人事件の元凶は山で暮らす怪しい日本人だと噂が広がる。村にある教会の神父は「あの人は日本から来た有名な大学の教授で、僧侶でもある」と男のことを擁護するが、祈祷師のイルグァンによれば、男はもはや生きた人間ではないという。悪霊についての研究を続けているうちに、男自身が悪魔的な存在になってしまったらしい。國村隼が演じる男は、生きているのか死んでいるのかすら分からない、得体の知れない異人として描かれている。久々にコワモテ系俳優としての本領を遺憾なく発揮してみせた國村は、シネマート新宿で行なわれたジャパンプレミアでこうコメントしている。

國村隼「ナ・ホンジン監督の前2作はもちろん、今回の脚本も抜群に面白いことから出演を決めました。脚本を読んだ段階ですっぽんぽんになることは分かっていましたが、でもこの役は他の役者には渡したくないなと思ったんです。自分からナ・ホンジン監督の作品の中へ飛び込んでいったので、ひどいことをやらされたという意識はないですよ(笑)。僕が演じた役は人間なのか、人間ならざるものなのかも分からない存在。従来のような役づくりでアプローチしても意味がないキャラクターでした。例えるなら、コクソンという池に波紋を起こす石みたいなもの、というイメージで演じたんです」

 どこかうさん臭い祈祷師イルグァンを演じているのは、『新しき世界』(13)や『ベテラン』(15)などで知られる韓国映画界のスター俳優ファン・ジョンミン。ソウルからコクソンへとやってきたイルグァンは正義の悪魔払い師なのか、それとも腹黒い俗物人間なのか。彼もまた非常にグレーゾーンな存在である。ファン・ジョンミンと國村隼との過剰な呪術合戦が物語中盤の見せ場となっているが、韓国ではこういった民間での呪術信仰が今なお盛んらしい。

ナ・ホンジン「韓国ではキリスト教や仏教を信仰している人でも、みんな占いが大好きで、よく祈祷師に占ってもらい、占いの結果が悪いと厄払いをしてもらうんです。韓国のシャーマニズムは4兆ウォン産業ともいわれています。日本円にすると4000億円ですね。韓国の映画市場の2倍もあるんです。シャーマニズムは田舎だけでなく、都会の人も熱心に信じています。田舎では厄払いしているとすぐ周囲にバレるから、むしろ都会のほうが盛んなぐらいなんです」

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