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イカレポンチなマサオに泣かされる『A LIFE~愛しき人~』14.7%で、いよいよ最終回へ

 こちらは、さしたる山場もなく、あっさり成功。天才・沖田も「すげえよ」と認めざるを得ない、見事な腕前です。そしてマサオは、妻・深冬に「俺がやる」と告げることになります。

 これ、一歩引いて見ると、マサオが切る流れなんですよね。沖田が「すげえよ」と認める通り2人の腕前が同等なのだとしたら、マサオこそ深冬を切るのに相応しい人物として描かれてきているんです。

 妻の脳に腫瘍を見つけてしまう。「家族は切れない」という大前提がある。そこに幼なじみの信頼できる沖田が現れ、マサオは沖田に手術を託すことにする。深冬は沖田の元カノで、自分が謀略を駆使して奪って妻にしたという経緯に後ろめたさもある。でも、実際に妻の頭を切ることを想像したら、気が狂いそうになっちゃう描写もありました。

 しかしそんなマサオが目の当たりにしたのは、天才・沖田でもやはり家族の手術をすればミスが起こるという事実でした。幸い、術式は沖田が考えてくれたし、3週間の準備期間もできた。大臣の手術という、ものすごくプレッシャーのかかる仕事も、難なくやってのけた。自信も取り戻した。

「やはり、愛する妻は自分が救いたい」

 と思うのは、ごく自然な心理だし、ここまで積み重ねたドラマのクライマックスが与えられるべきは、やっぱりマサオに見える。

 でも、そうはいかない。なぜなら、沖田が、木村拓哉が、この作品の主人公だからです。こういうことって、脇の登場人物を丁寧に描けば描くほど、しばしば発生してしまう問題なんです。特に『A LIFE』は前半、主人公・沖田に変化がないために、マサオや井川先生、オペナース柴田さんに多くのエピソードを振ってしまったおかげで、キャラクターの掘り下げという面で、結果的に沖田よりマサオのほうがずっと深く、視聴者にアピールされてしまっているのです。

 それでも、退場していただくしかありません。脇役は、脇役に甘んじていただかなければならない。ここで、マサオはイカレポンチな行動のツケを払わされることになります。かなり強引ではありましたが、外科部長・羽村(及川光博)と、ヤリ捨てられた不倫相手・榊原弁護士(菜々緒)が結託して、院長にマサオの悪事をチクることになります。

 一方、マサオは深冬からも「私のオペは、沖田先生にお願いしたいです」と告げられます。マサオは、これに逆上します。

「なんでカズなんだ! え!?」
「カズは腕がいいからか?」
「カズのほうが信用できるからか? え?」
「信頼できるのがカズだからか?」
「失敗してもカズなら殺されてもいいからか?」

 これまで、ギャハハと笑い飛ばしてきた浅野忠信の大仰芝居でしたが、今回ばかりは笑えなかったなー。マサオのマサオなりの悔しさが刺さってきて、泣けちゃったなー。

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