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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第145回

『フリースタイルダンジョン』モンスターたちの“危機感”と、ぶつかり合う価値観が証明するヒップホップの多様性

 チャレンジャーが圧倒されたREC4の後のREC5。チャレンジャー「TEAMパンチラインフェチズ」にも、モンスターたちが抱く危機感は伝播し、彼らの心に火をつけたのかもしれない。

 最初のステージはお互いに2人で戦う「2 on 2」。崇勲、TKda黒ぶち組が、モンスターの漢 a.k.a GAMI、サイプレス上野組をクリティカル(審査員5人全員一致)で破って、次のステージに勝ち進んだ。

 第2ステージは「1 on 1」。そこで勝負の舞台に上がったのが、「TEAMパンチラインフェチズ」のリーダー・NAIKA MCと隠れモンスター・FORKだった。

 NAIKA MCの勢いに1本目を落としたFORKは、再び美しいライムを重ねて応戦する。

「俺らはライムで切り開いていくオリジナリティ つまり自己流
 ハンドルとHIP HOPは遊びがなきゃ 事故る
 事故ったら最後 保険はきかねぇ
 自賠責に入ってても 次回席はねえんだよ
 2階席で見とけ 時代劇みたいには いかねえんだよ」

 これに対しても、NAIKA MCはあくまでもスタイルを変えず「時代劇役者以上に役者」「別に事故んねえよ 問題ない シートベルトして安全に韻踏んでるだけのお前とは違う」などと返していく。

 1対1となり、ついに最後の3本目。

「韻というのは 韻と韻の間を埋める言葉への愛だ そこのセンスにHIP HOPがあんだ」

 巧みに韻を踏みながら語る、FORKのHIP HOP論。

「韻で表現の自由が固まっちまうなら 俺はそれに踏まれたかねえ 俺の影を踏むなよ アンタの負けになるぜ」

 そう返すNAIKA MCのラップもまた、HIP HOP論だ。

 最後に、FORKが返す。

「このライム そう全て自由が生まれる 知らねえ ライムするのはHIP HOPっていう理由だ」

 審査員長のいとうせいこうも「素晴らしいHIP HOP論」とうなった極上のバトル。ブームで終わらせてたまるかという、思いのこもったような熱い戦い。

 ぶつかり合う価値観は逆に、いかにHIP HOPが多様で自由なのかを証明していた。その自由さと多様さこそが、一過性のブームで終わらせないための大きな武器となるはずだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/

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最終更新:2020/01/28 10:35
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