日刊サイゾー トップ > その他  > 『信長の忍び』PDが明かす制作秘話
【おたぽる】

祝・2期放送決定!『信長の忍び』の制作から販売&配信まで、丸ごと石山桂一PDインタビュー!!

■パッケージ売り上げだけに頼らない多様なスタイルを作りたい

―― DVD同梱版単行本やタイアップされた主題歌も好評で、2期制作も決定。今後グッズや宣伝も力を入れられるということで、うまく回り始めているように見えますが……。

石山 でも、実はまだ目標の数字には届いてないんです。DVDだけでは回収できていなくて、これからの作業になるんです。『信長の忍び』でちょっと新しいビジネススタイルを、何か作れればいいなとは思っています。このDVD同梱版単行本というのも、TVシリーズを同梱で収録するというのはなかなか珍しい形態だと思いますし。

―― TV放送後、新しくOVAを製作して、それを原作コミックに同梱するというのは、ちょいちょいありますけど。ただ、原作コミックではないですけど、今クールで人気がえらいことになっている『けものフレンズ』も普通にDVDをリリースするのではなく、オフィシャルブックにBlu-rayを同梱するということをやられていて。個人的に興味を持っている放送中の2作品が同じようなことを新しくやられているのが面白いなと思いまして。

石山 全然示し合わせたわけでもないんですけど、そういう偶然が起きることってありますよね。ただ『信長の忍び』は5分アニメだからできることではあるんですけど。

 5分アニメは、アニメそのもので収益を得るのではなく、原作のゲームであったりコミックの宣伝のために制作するというケースも多いと思いますが、5分アニメでもそこから脱したいというか、『信長の忍び』という作品ならそれができると思いますから。もっともっといろいろなことをやって、一つのモデルケースにすることができればと。

―― 5分アニメでもしっかり、内容があるものを制作して、ちゃんと収益を得ることができるスタイルを確立したいと。

石山 それが一番いいですからね。というのも昨今は、30分・13本のアニメでも提供費、製作費を集めるのはすごく大変なんですよ。あとは全国で放送するというのはすごく強いことなのですが、それにはやはり相当なお金を使わないといけない。

 そこまでやって、回収できるかっていったら、皆が皆できるわけでありませんから。ではどうするかという時、やっぱり短い尺で、ネットも駆使しつつ、キー局は抑えてという売り方でどこまでもっていけるか。これが現状では、一つ可能性があるスタイルなのかなと思うんです。30分のTVアニメ単体で直ぐに黒字になる作品なんて、1クールごとに始まる新作の中で、多分1割あるかどうかだと思うんですよ。

―― オリコンのBD、DVDの売り上げなどを見ても5千、1万本を越えるような作品は1クールに数本ぐらいですよね。

石山 パッケージよりも、基本今はもう配信と海外番販(番組販売)なんです。もちろん、作品によって違いはあるんですけど、基本はそこになりつつあって、パッケージだけでは、もうなかなか戦えないんですよね。番販だとかなり高額で売れるケースもありますし、買い取りですから結果もすぐに出ます。最近はそっちに寄り始めているケースが増えているんですが、『信長の忍び』で苦労したところは、“5分枠”がなかったんですよ(笑)。

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