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小説『凹凸』出版インタビュー

「魂を削る思いで書きました」唯一無二の小説家・紗倉まなが向き合った、自身の“闇”と“病み”の正体

「魂を削る思いで書きました」唯一無二の小説家・紗倉まなが向き合った、自身の闇と病みの正体の画像4

■「ヤリマンになりたい」思いは成就したか

──前回の『最低。』の際にインタビューさせていただいたとき(記事参照)、書籍の話をしているのに、唐突に「ヤリマンになりたいんです!」と言い出したのって、覚えてます?

紗倉 あー、言ったかもしれないです。なんか、枯渇していた時期ですか?

──それは知りませんが、『凹凸』の栞も彼氏がいるのにバイト先の男の子と平気で寝たり、ある意味ではヤリマンだと思うんですが、紗倉さんがあのとき言っていたヤリマンとは違いますよね?

紗倉 栞はどちらかというと、コミュニケーションを取れない子で、息を吸う感覚でやっていることなんだと思うんです。たまたま流れるように出会った人たちと、そういう行為を繰り返すことで生きている実感を得たりだとか、さりげないものなんですよね、きっと。

──紗倉さんが目指すヤリマンは、これではない?

紗倉 そうですね。すごい寂しいヤリマンじゃないですか、栞の気質って。孤独なヤリマンは嫌なんです。それは超寂しいじゃないですか。

──孤独なヤリマン。

紗倉 私が目指すのは孤独なヤリマンじゃなくて、パコリンナイト……パコリンナイトは変か。なんかそういう、「フー!」みたいな、充実した陽気なヤリマンになりたいんです。……私は、充実っていう感覚がよくわからなくて、今まで、どれだけ忙しくても、どれだけ楽しくても、充実っていうのが実感しにくいことだったので、もしかしたら、ないものねだりなだけかもしれないです。充実っていうのは、自分がそうだって思い込まないと、いつまでたっても実感できないことなのかもしれないです。

──それでも、凹と凸の物語は、ささやかなハッピーエンドを迎えます。そこに充実があるんじゃないかっていうところに落ち着いたように読めましたが。

紗倉 着地点はそうですよね。でも……ハッピーエンドなのかな、どうなのかな。

──そもそも、なぜ物語を書くのか、という話を伺えますか? すごく面倒だし、ストレートにエッセイとして本音を出すことだってできたはずなんです。なぜ物語を作るのか、物語にしか乗せられないものがあるのか。

紗倉 やっぱり、都合がいいからだと思います。物語なら嘘もつけるし、本当のこともいえる。実は、小説のほうが自分を赤裸々にして、書きたいことが書ける。「だって、私じゃない」って言っちゃえばいいことだから。それに、小説なら「自分のことを知ってほしい」ではなく「物語を楽しんでほしい」っていう気持ちで書けるから、自己満足の仕方が違うんだなって思いましたね。

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