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【messy】

加藤鷹「“男どもが悪くて、女性は悪くない”という単純な認識は持たないでほしい」/インタビュー

1988年にデビューし、2013年に引退するまで実に25年間AV業界で活躍し続けた加藤鷹さん(57)。今年で業界生活30周年という節目に、最新ちんぽ事情から知られざるエロメンの悩み、そして業界が抱える問題について、聞いてきました!

前半はコチラ⇒レジェンド・加藤鷹が語る、AVを真に受ける男としょぼいセックスをする女たち

俺は、早漏でドM

――鷹さんご自身の性癖って、プレーンなんですか?

加藤 はっきり言って、同業の人で俺より普通だと思った人はいないからね。それくらい、俺はすごく普通。

――変態だと思う男優さんはいますか?

加藤 しみけんだね。あいつは公言しているしね。しみけんのそういう、包み隠さないところが好きだよね。俺は現役時代から、エロ業界にいたわりにはエロに固執したことはないんだよね。ビジネス以上でも以下でもない。だから「みんな性癖とか持ってて、いいなあ」と思うもん。しいて言うなら、おばあちゃんも対象になる、くらいかな。というか、すべての女性が性的対象。ルールとして「18歳未満はダメ」という認識はあるけど、対象じゃない女性はいないよ。面白いよね、セックスは。俺が今でも元気なのは、セックスを否定していないからだろうね。大体、「あんなババアじゃ勃たねぇよ」って奴、いるでしょう? そういう奴こそビンビンになるんだよな。

――なぜでしょう?

加藤 ババアを否定するのは自分のちっぽけなプライドでしょ? 「こんなババアで勃つわけがない」という。俺はそういうのがないからさ、「気持よくて勃っちゃうとき、あるんじゃないの?」と思うもん。自分のことを知らないんだよね、男って意外と。俺が元々この業界に入ったのも、男としてどうあるべきか、というのをテーマに「勉強になるかも」と思ったからであって、「イイ女とヤリたい」というのではなかったから。ひびやん(日比野正明監督)が、いつも俺に言っていたんだよね。「鷹さんはすごいブスのとき、一生懸命だよねぇ」って。それは、他の男優がブスとそうじゃない女優に差をつけているだけじゃないですか? と思う。俺は可愛い子だろうがデブだろうが、ブチャイクだろうが、いつも常に100%でしかヤラない。「この子はブスだから適当にヤッちゃおう」と思う奴がいたら、それはプロではない、と思うんだよね。

――常に100%でヤれるものですか?

加藤 そもそも、人間は容姿ではないと思っているから。美人のマグロとブスのドスケベだったら、どっちがいいか、確実に後者がいいよね、という話。ただ、お尻の大きい女性は、ギュッとしたくなる。だから女王様とか好きなんだよなぁ。あとは性癖じゃないけど、意外に思われるかもしれないのが、俺は早漏ってこと。というか、男優って、早漏の人が多いんだよ。

――そうなんですか? 意外です!

加藤 遅漏の人に男優の仕事は無理だと思う。イカないといけない仕事だからね。

――早すぎても困りませんか?

加藤 単純に、仕事としてやらなければいけないことがあれば遅くできるし、プライベートに戻ると早漏、というのはあるよね。ちなみに吉村卓が早漏の記録を持っているけどさ。

――いかほどですか?

加藤 ふたこすり半で射精したって記録があるから。でもそれって思考次第でさ。俺だって、人生初のセックスを今振り返ると、相当早かったんだろうなと思うよ。俺たち男優は、仕事で行わなきゃいけない、という認識でやっているから、長くやっているように見えるだけかもしれない。よく、「どうやってコントロールするんですか?」と聞かれるけど、コントロールしているという認識がないんだよ。

――でも、たとえば監督さんに「今、発射してください!」と合図されたら?

加藤 イケる。「1分後、鷹さんお願いします」と言われたら、イケる。

――逆に、「ちょっと待ってください!」も?

加藤 できる。こういう調節を、遅漏はできないだろうから、やっぱり早漏は男優向きかもしれないね。

――勃起させながら発射も我慢できるってことですね。さすがプロの技はすごいです。

57歳の今が、1番ビンビン

加藤 言葉は悪いけど、実は100%ギンギンに勃起して仕事をしている男優って、ほぼいないのよ。俺はゼロか100しかないタイプだったんだけど。俺の場合、40半ばの頃かなぁ。いつも100で仕事をしていたんだけど、70%くらいの感覚が続いていた時期があったんだ。傍からみると遜色ないと言われるけど、自分では「100じゃないな」という感覚ってわかるんだよね。そういう時期が結構続いたの。

――それはスランプだった、ということですか?

加藤 そうなんだよ。でも、「まぁまぁまぁ、俺も年だしね。ロボットじゃないし、ダメだったらしょうがないか」と開き直った瞬間、戻ったんだ。男ってさ、エッチするときは、「相手のことを気持よくしなきゃいけない」とか、「そうするべきだ」とか、色んなことを勝手に考えるんだけど、そんなことは二の次だったな。スランプのとき、神の声……というか、俺は死んだばあさんの声だと思っているんだけど、「元気で仕事できてりゃいいじゃねぇか」と聞こえたんだ。でも、最初はそれが受け入れられなかったんだ。「加藤鷹たるもの、こうなるべきではない」と、自分と戦ったりもしていたんだけど、まぁでも「若返ることはないし、ダメなときはスパッと辞めればいいんだから」と受け入れた50歳頃から、逆に若い頃よりも元気になったんだよね。で、AVを辞めてから今、さらに元気になった。

――57歳の今の方が、ですか。

加藤 現役時代は、自分では気づかないストレスみたいなものがすごくたくさんあったんだと思うよ。今は風俗レポの仕事で、「おっさん、本当にスケベだな。いい歳こいて、ちんこビンビンにしちゃって恥ずかしくないの~?」というもうひとりの自分がいるんだけどね。

――でも、本当に体力仕事ですよね。

加藤 それは思ったことはないなぁ。そもそも体力を消耗する行為だと思っていない。癒やされて幸せになったり気分がよくなる行為だと思ったことはあるけどね。

――プライベートのセックスはそうかもしれませんが、仕事だと、“鷹さんらしいセックス”とはかけ離れたものを求められることもあるわけじゃないですか。

加藤 昔はあったね。「駅弁、やってもらっていいですか?」みたいな。「え〜! そんなのチョコ(※チョコボール向井)に頼んでよ〜」と言いつつ、一応できる範囲でやったけど、「あ〜無理! やっぱ俺、無理!」ってすぐに降ろしちゃう。だって、出来ないもんは出来ないじゃーん。

――90年代は、鷹さんとチョコさんが男優の二大巨頭でした。

加藤 単純に、俺とチョコが、何も気にせずメディアに出て行ったからそう認知されているだけなんだよね。俺たち以外は、メディア出演を断っていた男優が多かったと思う。ちなみに、今は男優も女優もメディアに出ることが多くなってきたけど、メディアに出る=作品が売れる、というわけでもないんだよね。

加藤鷹「男どもが悪くて、女性は悪くないという単純な認識は持たないでほしい」/インタビューの画像2
今、イチバン元気ですが?
“ゴールドフィンガー”という“虚像”と闘ってた

加藤 今、この業界は上がっていくことはないかもしれないけど、下降していくのを止めるために、業界人がどうすべきか、その方法を考えていくことは大事だよね。

――AVから離れたからこそ、鷹さんは客観的にアドバイスできる立ち位置にいるかもしれないですよね。

加藤 気にはなるんですよ。一徹とか、若い男優のことも。

――エロメンの一徹さんですね。

加藤 もしかしたら、彼らからすると、そう呼ばれること自体が悩みかもしれないよね。俺、いつも思うんだけどさ、男優も女優も、“虚像”だから。俺みたいなおっさんになったら割りきって出来るかもしれないけど、今の若い男優は色々と悩んでいるかもね。これは俺の想像だけどさ。

――でも、鷹さん自身も結構キャラクターをつけられていたと思いますが、現役当時はどうでしたか?

加藤 “カリスマ”とか、“ゴールドフィンガー”とか言われるって、嬉しくないもん。やっぱり、そういう“虚像”と自分自身が闘う時期があるんですよ。だから、若い奴らもそうなのかなぁ、と。甘んじて受けている時期もあるかもしれないけど、やっぱり人間だから、詰まってくるときもあるだろうしね。

――自分自身との闘いなんですね。

加藤 俺は、みなさんが思っている「加藤鷹」を壊さないことしか考えていない。それはしんどいことですよ。だから、それが壊れる前に、AVから離れただけ。さっきも言ったように、俺だって早漏のときもあるし、SかMかでいえば、間違いなくドMだし。好きな相手とヤッたらすぐにイッちゃうかもしれないし。プライベートでは手マンなんてやったことないし。……というのが、本当の自分。でもみなさんの知っている「加藤鷹」は、それでもないわけじゃない? それにしても、「加藤鷹」も30年か……再来年、還暦だよ。

女性はAVを観ることに“テイ”が必要なのかな

――先程の話にも出ましたが、最近では“エロメン”による女性向けAVも、いちジャンルとして成立しています。鷹さんは観たことはありますか?

加藤 観たことはあるよ。でも、「女性向け」とか「男性向け」とか、境目なく作っていけるようになるのが理想だよね。無理にソフトに作る必要性ってあるのかな。男性向けだろうが、女性でも観る人は観るし。男性向けAVひとつとっても、男性の場合、俺を通して「鷹、いけー!」という目線で観て、女性の場合、女優の表情とかから、「気持ちよさそうだな」と同調する目線で観る。同じ作品でも観う目線が違う、それでいいじゃないかと思うんだけどね。悪い言い方をすると、女性向けAVって偽善的な感じがしちゃうんだよね。それは、女性がAVを観ることに“テイ”が必要だからかな、と思うんだけど。

――女性がひとりでAVを観ることへの言い訳ですか?

加藤 たとえば、90年代のニッセンやディノスなんかのぶ厚い通販カタログには、最後の方のページに、コンドームやエロビデオも載ってたんだ。で、すっごい売れたんだよ。そこに載るにはテーマが必要でさ、「セックスレスを解消するためのDVD」とか、「マンネリ化した夫婦の関係を良好にするためのDVD」とか。俺もそういうの、3本くらい作ったことがあるよ。それと同じような“テイ”が、今の女性向けAVにあると思う。女性も、照れなくぶっちゃけていいと思うんだけど、「違うんです! 私は◯◯のために観てるんです」というのが、やっぱり女性には必要なのかなぁ。

――今はAV作品を購入するのも、動画もネットで観られる時代になりましたが。

加藤 そうだね。当時は通販雑誌一番の売れ線商品がコンドームだったっていうんだからすごいよね。普通、カラーボックスだと思うよね?

――カラーボックスだとは思わないですけど(笑)。

加藤 980円のカラーボックスが一番売れるかと思いきや、コンドームなんだよ! 薬局だと恥ずかしくて買えなかったんだね、当時の女性は。女性も、生理現象としてエッチしたいときってあるよね。

――もちろんありますよ。

加藤 そういうことを認めない女性、「彼氏がいないと全然ないんですよ」とか言い張る女性、すごいイヤなんだよね。セックスもしますし、小便もクソもしますよ! ってノリの方がいいよね、女性は。女性向けAVについて色々言ったけど、そもそも俺、AVをあんまり観たことないんだけどね。自分のももちろん観たことない。

――観たいと思わないんですか?

加藤 残業じゃん、それ。自分の出てる作品を観て、笑えたりモチベーションが上がるなら観るけど、おそらく男優って、テンションが下がるよ。

――反省になるんでしょうか?

加藤 そうなの。でも、終わったことに反省してもしょうがないから、だから観ないほうがいいよね。一般の業務なら、「ここを改善しよう」と反省が生きるけど、俺の場合は、明日は違う女性と絡むわけだし、その繰り返しだし。“前例”が通用しないんだよ。常に毎日、ゼロからのスタート。その“初心”を忘れてなぁなぁになると、イラつきに変わっちゃうんだよね。「この女優さん、女優ならもっと声出すべきじゃない?」とか。でも、それは自分のエゴじゃないですか。「AV女優はカメラが回ったら、声を出すものだ」という間違った認識なんだよ。

――鷹さんもそういう認識を持ったことがあるんですね。

加藤 俺は、森下(くるみ)にコテンパンにされたおかげで、“ゼロ”に戻れたんだ。デビュー作で、「なんで気持ちよくないのに、声を出さなきゃいけないんですか? 気持よくないのに声を出さなきゃいけないって、誰が決めたんですか?」と、男優やスタッフに言う人だったから。そんな子が売れるわけないだろう、と思っていたけど、デビュー作『うぶ』(SOD)はバカ売れ。「ああ、単純に“エロい”じゃなく、その子の存在感やリアリティが知れたら、それで満足なのか」と、今までのAVに対する幻想が壊れた。森下が教えてくれたんだよね。

――森下さんきっかけで、変わった、と。

加藤 俺、2000年前後に一度、「AVを辞めようかな」と思っていたんだ。そこに登場したのが、98年にデビューした森下。彼女がいたから、2013年まで辞めるのが延びた。2000年で辞めていたら、どこかにうぬぼれが残っていたと思う。森下がああいう風に言ってくれたから、「確かに、おっしゃる通りです」となって、精進しなきゃ! 声を出させるまでガチでいかなきゃ! と思えるようになったんだ。

セックスは、永遠に素晴らしい行為

――もはや”AV女優”の枠を超えた影響力です。一方で最近は、「AV出演強要問題」が表沙汰になっています。鷹さんはどう思われますか?

加藤 強要しているかしていないかは、その現場を見ていないから何とも言えないけど、「強要があっても不思議ではないな」と思うし、「全部が全部、そうではないな」とも思う。「AV出演強要被害をなくす」活動を掲げているNPOヒューマンライツ・ナウの人たちは、AVを固定概念を持って見ないでほしい。「男どもが悪くて、女性は悪くない」という単純な認識は持たないでほしい。エロにだけ目をつけなくても、色々な問題があると思うんですよ。世界中を見渡しても、エロがない国はないわけじゃない。表も裏も。中国はダメだというけど、あくまでそれは表の話でしょう。裏を見たら、日本より酷いよ。表が薄い分、裏が深いんだよ。トータルで100なんだよ。……と、俺は、色んな国の事情を聞いて思う。

――風俗事情を見ても、日本の表風俗は優良らしいですね。

加藤 そう。そこにもホスピタリティがあるし。世界一素晴らしいと思うよ。色々と言う人には、「あなたちだってセックスして子どもがいるんだから、もうちょっとセックスや性欲を肯定的に見たらいいんじゃない? 卵で産んだって言わないでしょ?」と思うよ。昔、PTAが集まる講演に参加したことがあるんだけど、そのときも「セックスは汚い!」と言う女性がいてさ。俺は「あなた子どもいるんだよね? じゃあ、汚いことをして子どもを産んだの?」と言ったことがある。俺は、セックスは素晴らしいことだと思っているし、否定すべきではないんですよ。逆に言うと、永遠に素晴らしい行為でなければいけないんです、セックスは。じゃあどうやるか。俺はこれからも、それを唱えていきますよ。

【加藤鷹さん情報】

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★加藤鷹カウンセリングルーム開設!

詳しくは5月頃、公式HP「加藤鷹商店」に掲載予定。「人生相談を開設します。男女問わず、『自分はどうしたいのか?』『どうなりたいのか?』を聞くことから始めるから、興味のある人はそれを用意しておいてね」

加藤鷹「男どもが悪くて、女性は悪くないという単純な認識は持たないでほしい」/インタビューの画像3
人生相談、受け付けるよ。

最終更新:2017/04/03 07:10
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