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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.423

吉祥寺から消えた映画館から生まれた『PARKS』過ぎ去った記憶と現代とを音楽で結ぶという試み

吉祥寺から消えた映画館から生まれた『PARKS』過ぎ去った記憶と現代とを音楽で結ぶという試みの画像3夜更けのサンロード商店街を駆け抜けていく純、トキオ、ハル。このアーケード街には、かつてバウスシアターがあった。

 そして、こちらの想像以上に『PARKS』に初々しい躍動感を与えているのが、橋本と染谷に絡む永野芽郁。テレビで流れるUQモバイルのCMでは消されてしまっているが、自然光で撮影された本作では永野のほっぺの上に小さな小さな“インディアンえくぼ”が浮かび上がることが分かる。小動物のようにコロコロと変わる永野の表情の豊かさに目を奪われてしまう(ちなみに5月20日公開の『ピーチガール』では悪女役を演じ、主演俳優たちを喰っている)。本作で永野が演じるハルは、純の部屋に居候するかなりの不思議ちゃんだ。春風のようにふわふわしたハルは、父の思い出の曲を再現しようとするうちに、井の頭公園をさまよい、若い頃の父や佐知子たちとばったり遭遇してしまう。意識が時空を越えてシンクロしてしまったらしい。タイムマシンなしでうっかり時間旅行してしまうハルの天然ぶりに見蕩れているうちに、物語は瞬く間にクライマックスを迎える。

 50年前の恋人たちの曲を蘇らせようとしていることが周囲に知れ渡り、吉祥寺で開かれる人気音楽フェスに出場し、その曲を発表することになる純たち。音楽業界で食べていきたいトキオはやたらと張り切っているが、果たしてフェスまでに曲は完成するのか、純たちの初ステージは成功するのか? バウスシアターという形ある映画館は吉祥寺から消えてしまったけれど、代わりに過去と現代を結ぶ曲と映画が誕生した。映画を見終わった後、橋本愛が歌う曲を思わず口ずさみたくなる。『PARKS』はそんな軽快なエンディングが待っている。
(文=長野辰次)

吉祥寺から消えた映画館から生まれた『PARKS』過ぎ去った記憶と現代とを音楽で結ぶという試みの画像4

『PARKS パークス』
企画/本田拓也 ゼネラルプロデューサー/樋口泰人 音楽監修/トクマルシューゴ 監督・脚本・編集/瀬田なつき
出演/橋本愛、永野芽郁、染谷将太、石橋静河、森岡龍、佐野史郎、柾木玲弥、長尾寧音、岡部尚、米本来輝、黒田大輔、嶺豪一、原扶貴子、斉藤陽一郎、麻田浩、谷口雄、池上加奈恵、吉木諒祐、井手健介、澤部渡(スカート)、北里彰久(Alfred Beach Sandal)、シャムキャッツ、高田漣
配給/boid 4月22日(土)よりテアトル新宿、29日(土)より吉祥寺オデヲンほか全国順次公開 
(c)2017本田プロモーションBAUS
http://www.parks100.jp

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