日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『架空OL日記』夏帆の等身大の魅力
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

清純派イメージを完全に払拭! 『架空OL日記』で夏帆が放つ、等身大の魅力

 
 現在は主人公の友人役のような脇役で光る演技を見せることが多い夏帆だが、2004年に美少女女優の登竜門といえる「三井のリハウス」のCMに、第11代リハウスガールとして出演して以降、注目されるようになり、宮崎あおいや堀北真希も出演した人気ドラマシリーズ『ケータイ刑事 銭形零』(同10月~05年3月/BS-i)などに起用。絶世の美少女として、圧倒的な存在感を見せていた。

 子犬のようなあどけない表情と黒髪ロング、実は隠れ巨乳というプロポーションの絶妙さは、多くの美少女マニアを熱狂させた。今でも、あの頃の夏帆を神格化しているファンは多い。
 
 原田知世や広末涼子など、狂信的なファンを引き寄せてしまう美少女が時代時代に存在するが、2000年代の夏帆は、まさにそういう存在だった。

 しかし、10代前半であまりにも完成されてしまった夏帆の美少女性は極めて危ういバランスの上に存在していて、いつ崩れてもおかしくない儚さがあった。
 
 おそらく、ピークが頂点を迎えたのは田舎の女子中学生を演じた映画『天然コケッコー』(07年)だろう。それ以降の夏帆は、美少女なのだが、それ以前とは微妙なズレが生じてしまったように感じた。10代前半で美少女として世に出た女優が抱えてしまう、美しいがゆえに疲れた感じが、顔ににじみ出ているように見えた。

 思うに、10代後半の夏帆は10代前半の夏帆と比較されることで、輝きを失っていき、美少女としての自分を過去の自分によって終わらされてしまったのだろう。

 もちろんこれは、一視聴者の身勝手な見解である。

 しかし、正統派美少女ヒロインしか演じられないことに対する焦り、しかも演じれば演じるほど、過去の自分と比較されて、容姿が衰えたと思われることへの危機意識は大きかったのではないかと思う。

 そのためか、20代に入ると、過去の美少女イメージを崩すような役を積極的に演じるようになっていく。

 映画版『任侠ヘルパー』(12年)では、派手な格好をしたキャバ嬢を演じ、園子温が監督を務めたドラマ『みんなエスパーだよ!』(13年/テレビ東京系)では、ヤンキー女子高生を演じ、清純派美少女路線から脱却していく。 

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