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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.428

リリー・フランキー、橋本愛が宇宙人として覚醒!? 三島由紀夫のSF小説『美しい星』を映像翻訳化!!

リリー・フランキー、橋本愛が宇宙人として覚醒!? 三島由紀夫のSF小説『美しい星』を映像翻訳化!!の画像3大物代議士の秘書をつとめる黒木(佐々木蔵之介)は、伊余子(中嶋朋子)だけでなく大杉家全員の行動を掌握していた。

 吉田大八監督は今の映画界において、とても希有な存在だ。代表作である『桐島、部活やめるってよ』を例にすると、彼の描く世界は何層ものレイヤー状に分かれており、どのレイヤーから眺めるかによって世界はまったく別物に映る──という独特の視点で映画を撮り続けていることが分かる。実話をベースにした『クヒオ大佐』(09)の結婚詐欺師(堺雅人)は女たちを騙し、女たちはそれを幸せとして受け入れた。『紙の月』の真面目な銀行員(宮沢りえ)は破滅の道を走りながら、生の輝きを放った。今にも底が抜け落ちそうな不安定な世界で、それぞれの作品の登場キャラクターたちは自分たちなりの幸せを手に入れようと苦闘する。吉田大八監督が描く世界は、とても美しく、そしてそれと同じくらい残酷である。

 天才作家・三島由紀夫が書き記した異色小説が、吉田大八監督という素晴しい映像翻訳家の手によって、味わい深い現代ドラマとして蘇った。実相寺昭雄監督&金城哲夫脚本による『ウルトラセブン』(67~68年、TBS系)の名エピソード「狙われた街」で、メトロン星人とモロボシ・ダン(ウルトラセブン)がちゃぶ台を挟んで人類の存亡について討論するシーンを少年時代に見たときと同じような驚き、センス・オブ・ワンダーが映画版『美しい星』にも感じられる。
(文=長野辰次)

リリー・フランキー、橋本愛が宇宙人として覚醒!? 三島由紀夫のSF小説『美しい星』を映像翻訳化!!の画像4

『美しい星』
原作/三島由紀夫 脚本/吉田大八、甲斐聖太郎 監督/吉田大八 
出演/リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、羽場裕一、春日純一、友利恵、若葉竜也、坂口辰平、藤原季節、赤間麻里子、武藤心平、川島潤哉、板橋駿谷、佐々木蔵之介
配給/ギャガ 5月26日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー
(c)2017「美しい星」製作委員会
http://gaga.ne.jp/hoshi


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最終更新:2017/05/25 17:00
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