日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『ひよっこ』松本穂香の破壊力
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

朝ドラ『ひよっこ』でブレーク! “天然系ドジッ子”キャラで証明された、松本穂香の破壊力

 澄子が面白いのは、動作がゆっくりしているので、みんなが普通に話している時に一人だけズレた動きをしていることが多いという点。

 時子と豊子がケンカを始めてしまった時、みね子が寝たふりをして困っている中で、澄子は気づかずにずっと寝ている。登場するたびに何かを食べていて、食堂でも気づいたらおかわりをしている。

『あさが来た』ののぶちゃんもおかしな動きをしていたが、『ひよっこ』のほうが自覚的に描かれており、作り手が澄子を楽しんでいるのがよくわかる。

 澄子を演じる松本は、有村と同じ芸能事務所・フラームに所属する20歳。17歳の時に『あまちゃん』を見て本格的に女優を目指そうと思い、事務所に応募したという。

 本人の印象としては、事務所の先輩である広末涼子の系譜にあたるショートカットで透明感のある女の子という感じで、清純派女優のど真ん中である。
 
 ドラマ出演はまだ少ないが、ワコール「ブラ・リサイクルキャンペーン」のWEBムービーや「江崎グリコ ビーフカレーLEE『辛い(うまい)』編」のCMなどに出演しており、それぞれ印象は違うが、目元が独特で小動物のようだ。

 澄子は、メガネにおかっぱという極端なキャラクターだが、元の容姿がここまでいいと、多少変なコスプレをしても逆に愛嬌が際立つのだなと、CM等を見て思った。
 
 残念ながら、物語上では向島電機は倒産し、乙女寮の面々はバラバラになってしまった。澄子も石鹸工場に転職し、今は物語から退場している。

 しかし、NHKのトーク番組『土曜スタジオパーク』の『ひよっこ』特集に、佐久間由、衣藤野涼子と松本が出演した際、乙女寮の面々の再登場はあると言っていたので、楽しみである。

 その時、石鹸工場に就職した澄子は大人に成長して戻ってくるのか、相変わらずマイペースでおっとりしているのか? 

 澄子の再登場を心待ちにしながら、今も『ひよっこ』を追いかけている。
(文=成馬零一)

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

最終更新:2018/06/13 10:44
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