日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 当時の「イカ天」の評価は……?
昼間たかしの100人にしかわからない本千冊 28冊目

みなさん……そんなに「イカ天」面白いと思ってなかったんじゃないか?

■「たま」はコミックバンドだと思われていた記憶

「イカ天」発のバンドとして記憶されるのは、奇妙ないでたちで谷崎や太宰の一節を歌う「人間椅子」。なぜか股間モッコリのレオタードスタイルで歌う「ブラボー」。バックで琴の音色が響く「マサ子さん」など多数。

 そうした中で、とりわけ知名度があったのは「たま」だと思う。「たま」が「イカ天」に初めて出演したのは1989年のこと。翌90年には「さよなら人類」でメジャーデビュー。オリコン初登場1位となり、58万枚以上を売り上げている。その奇妙な音楽は、なぜか人々に大いにウケた。

 これもどうだろう。

 今「さよなら人類」を聞き直すと、音楽的センスのスゴさは自ずと理解できるハズ。けれども、当時はそうじゃなかったんじゃないかな。これも、とりわけ地方では、そういう印象が強かったハズ。

 ともすればすぐに消えてしまいそうなコミックバンド。あるいは「ランニングの人が気持ち悪い」と、今の我々なら「何を言うんだ!!」と反論するような感想を持つ人も大勢いたと記憶している。

 実のところ、これは筆者の個人的な記憶に過ぎない。けれど、新しすぎてついていけなかったような記憶がある人も多いのではなかろうか。

 でも、そんな声は現代では、ほとんど拾うことはできない。

 人の記憶というものは、調子のよい部分だけ盛られて残る。そうして盛られた記憶の中で、人はあたかも自分も世間の一般的な認識のとして話題に参加するもの。

 こうして、当時のリアルな空気感は消えていく。それを救うのは、地道な取材と資料調査しかない……。
(文=昼間たかし)

最終更新:2019/11/07 18:39
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